妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『百器徒然袋』

宝船(たからぶね)

『百器徒然袋』より「宝船」 宝船は、『百器徒然袋』の最初と最後に描かれている。 『百器徒然袋』内の妖怪が、全て「夢のうちにおもひぬ」という石燕の夢であったという形を取っている為、縁起物として枕元に飾ったり、描かれた絵を枕の下に入れておく――と…

瓶長(かめおさ)

『百器徒然袋』より「瓶長」 瓶長は、水瓶が付喪神化して妖怪となったもの。 しかしこの瓶長、『百器徒然袋』の宝船を除いた最後の妖怪であり、それは同時に『画図百鬼夜行』シリーズの最後を飾ることも意味する。 そういった意味でなのか、なかなか調べると…

鳴釜(なりがま)

『百器徒然袋』より「鳴釜」 鳴釜は、釜が付喪神となった妖怪。 石燕の解説文は漢文となっているが、頑張って書く。 「白沢避怪図曰 飯甑作声鬼名斂女 有此怪則呼鬼名 其怪忽自滅 夢のうちにおもひぬ」(レ点等抜いてますごめんなさい) さて一体どういう意…

五徳猫(ごとくねこ)

『百器徒然袋』より「五徳猫」 「七とくの舞をふたつわすれて、五徳の官者と言ひしためしもあれば、この猫もいかなることをか忘れけんと、夢の中におもひぬ」 五徳猫は、囲炉裏を囲い、火吹き竹でふぅふぅしてるカワイイ猫の妖怪。肝心の五徳は頭の上に載っ…

瀬戸大将(せとだいしょう)

『百器徒然袋』より「瀬戸大将」 瀬戸大将は、名の通り瀬戸物が付喪神となった妖怪。 しかしながら石燕はなぜかこの瀬戸大将を三国志と絡めているのが面白い。 「槊をよこたへて詩を賦せし曹孟徳に、からつやきのからきめ見せし燗鍋の寿亭侯にや。蜀江のにし…

猪口暮露(ちょくぼろん)

『百器徒然袋』より「猪口暮露」 猪口暮露は、猪口を被った妖怪達。単体ではなくわらわらと描かれている。 もちろん猪口とはお酒を飲んだりする際に使うあの「おちょこ」である。 石燕の解説文は以下の通り↓ 「明皇あるとき書を見給ふに、御机の上に小童あら…

古空穂(ふるうつぼ)

『百器徒然袋』より「古空穂」 古空穂は、平安時代末期の武将、三浦介義明の空穂だった矢入れの空穂が妖怪となったもの。 絵が随分掠れてしまっているが、古空穂さんのパッチリクリクリなお目目はよくわかる。可愛い。 空穂とは、普通は竹製で作られる矢を入…

面霊気(めんれいき)

『百器徒然袋』より「面霊気」 それにしてもダルそうな表情のお面である。 面霊気は、仮面に宿った付喪神の妖怪である。 石燕の解説文は―― 「聖徳太子の時、秦の川勝あまたの仮面を製しよし。かく生けるがごとくなるは、川勝のたくめる仮面にやあらんと、夢…

無垢行縢(むくむかばき)

『百器徒然袋』より「無垢行縢」 赤沢山の露ときへし河津の三郎が行縢にやと、夢心に思ひぬ 無垢行縢は、「曽我兄弟の仇討物語」における曽我兄弟の父親、河津祐泰(かわづすけやす)が使用していた行縢の妖怪である。 行縢とは狩や馬に乗る際に使用されてい…

暮露々々団(ぼろぼろとん)

『百器徒然袋』より「暮露々々団」 普化禅宗を虚無僧と言ふ 虚無僧じやくをむねとして、いたるところ薦むしろに座してもたれりとするゆへ、また薦僧とも言ふよし 職人づくし歌合に、暴露暴露ともよめれば、かの世捨人のきふるせるぼろぶとんにやと、夢の中に…

乳鉢坊(にゅうばちぼう)、瓢箪小僧(ひょうたんこぞう)

『百器徒然袋』より「乳鉢坊、瓢箪小僧」 へうたん小僧に肝を消して青ざめたりしが、乳ばち坊の泉ばちのおとに夢さめぬとおもひぬ 乳鉢坊と瓢箪小僧は、それぞれ乳鉢と瓢箪が付喪神化した妖怪である。 乳鉢とは、すり鉢のような物であるが、石燕が描いたのは…

簑草鞋(みのわらじ)

『百器徒然袋』より「簑草鞋」 雪は鵝毛に似て飛でさんらんし、人は鶴裳をきてたつて徘徊せし、そのふる簑の妖くはゐにやと、夢の中におもひぬ 「何見てんだよ」 ーーといった視線がイカす、妖怪簑草鞋。身体が簑、脚が草鞋となっており、防寒も滑り止めもバ…

経凛々(きょうりんりん)

『百器徒然袋』より「経凛々」 尊ふとき経文のかゝるありさまは、呪詛諸毒薬のかえつてその人に帰せし守敏僧都のよみ捨てられし経文にやと、夢ごゝろにおもひぬ りんりん、という部分がなんとも萌える、経文の化けた経凛々。この妖怪はその可愛い名前とは裏…

琴古主(ことふるぬし)

『百器徒然袋』より「琴古主」 何の迷いも無く琴の付喪神である琴古主。 石燕の解説文は琴の歴史も垣間見えるものになっている。 八橋とか言へるこしやのしらべをあらためしより、つくし琴は名のみにして、その音色をきゝ知れる人さへまれなれば、そのうらみ…

山颪(やまおろし)

『百器徒然袋』より「山颪」 豪猪といへる獣あり 山おろしと言ひて、そう身の毛はりめぐらし、此妖怪も名とかたちの似たるゆへにかく言ふならんと、夢心におもひぬ ん? まさかこの妖怪ってダジャレ?? ーーと思ったあなた。そのまさかである。 説明するま…

袋狢(ふくろむじな)

『百器徒然袋』より「袋狢」 穴のむじなの直をするとは、おぼつかなきことのたとへにいへり 袋のうちのむじなも同じことながら、鹿を追ふ猟師のためには、まことに袋のものをさぐるがごとくならんと、夢のうちにおもひぬ 袋狢は、その名の通り大きな袋を担い…

角盥漱(つのはんぞう)

『百器徒然袋』より「角盥漱」 なにを種とてうき艸のうかみもやらぬ小野の小町がそうしあらいの執心なるべしと、夢心におもひぬ 角盥漱は石燕の解説文によれば、小野小町が使用していた角盥(つのだらい)が妖怪化したものだと解る。 角盥とは、洗面器具の一…

槍毛長(やりけちょう)、虎隠良(こいんりょう)、禅釜尚(ぜんふしょう)

『百器徒然袋』より「槍毛長、虎隠良、禅釜尚」 禅釜尚 茶は閑寂を事とするものから、陰気ありてかかる怪異もありぬべし文福茶釜のためしもや 槍毛長 日本無双の剛の者の手にふれたりし毛槍にや 怪しみを見てあやしまず まづ先がけやの手がらをあらわす 虎隠…

貝児(かいちご)

『百器徒然袋』より「貝児」 貝おけ這子など言へるは、やんごとなき御かたの調度にして、しばらくもはなるゝこと無れば、この貝児は這子の兄弟にやと、おぼつかなく夢心に思ひぬ 貝児は、貝桶という江戸時代の貝殻を入れておく道具が付喪神化した妖怪。 石燕…

不々落々(ぶらぶら)

『百器徒然袋』より「不々落々」 山田もる提灯の火とは見ゆれども、まことは蘭ぎくにかくれすむ狐火なるべしと、ゆめのうちにおもひぬ 不々落々は、提灯と見せかけた狐火の一種である。 提灯の見てくれなのに狐火であることは、石燕が解説文において 「山田…

松明丸(たいまつまる)

『百器徒然袋』より「松明丸」 松明の名はあれども、深山幽谷の杉の木ずゑをすみかとなせる天狗つぶての石より出る光にやと、夢心におもひぬ 松明丸は、天狗火の一種である。 石燕の解説文には、 「松明の名はあれども、深山幽谷の杉の木ずゑをすみかとなせ…

鐙口(あぶみくち)

『百器徒然袋』より「鐙口」 膝の口をのぶかにいさせてあぶみを越しておりたゝんとすれども、なんぎの手なればと、おなじくうたふと、夢心におぼへぬ 鐙口は、名前の通り鐙が妖怪となったもの。鐙を繋ぐ鞍がまるで大きな口を開けたように、なっている。 鐙と…

鞍野郎(くらやろう)

『百器徒然袋』より「鞍野郎」 保元の夜軍に鎌田政清手がらをなせしも我ゆへなれば、いかなる恩をもたぶべきに、手がたをつけんと前輪のあたりをきりつけらるれば、気も魂もきへぎへとなりしとおしみて唄ふ声いとおもしろく、夢のうちにおもひぬ この野郎な…

栄螺鬼(さざえおに)

『百器徒然袋』より「栄螺鬼」 雀海中に入てはまぐりとなり、田鼠化して鶉となるためしもあれば、造化のなすところ、さゞえも鬼になるまじきものにもあらずと、夢心におもひぬ 栄螺鬼は、栄螺が鬼と化した妖怪。 なぜサザエが鬼となったのかは、石燕の解説文…

払子守(ほっすもり)

『百器徒然袋』より「払子守」 趙州無の則に、狗子にさへ仏性ありけり まして伝燈をかゝぐる坐禅の床に、九年が間うちふつたる払子の精は、結跏趺坐の相をもあらはすべしと、夢のうちにおもひぬ 払子守は、払子(仏具の一種。中国では煩悩を呼び起こす悪魔を…

鉦五郎(しょうごろう)

『百器徒然袋』より「鉦五郎」 金の鶏は淀屋辰五郎が家のたか、なりしよし 此かねも鉦五郎と言へるからは、金にてやありけんと、夢のうちにおもひぬ 鉦五郎は、鉦鼓が妖怪となった付喪神。 淀屋辰五郎(江戸時代の商人で、莫大な資産を持っていた人物。しかし…

白容裔(しろうねり)

『百器徒然袋』より「白容裔」 白うるりは徒然のならいなるよし この白うねりはふるき布巾のばけたるものなれども、外にならいもやはべると、夢のうちにおもひぬ 白容裔は、ボロ布が化けたとされる妖怪である。 石燕の解説文冒頭には、 「白うるりは徒然のな…

古籠火(ころうか)

『百器徒然袋』より「古籠火」 それ火に陰火、陽火、鬼火さまざまありとぞ わけて古戦場には汗血のこりて鬼火となり、あやしきかたちをあらはすよしを聞はべれども、いまだ燈籠の火の怪をなすことをきかずと、夢の中におもひぬ 古籠火は、燈籠が付喪神となり…

絹狸(きぬたぬき)

『百器徒然袋』より「絹狸」 腹つゞみをうつと言へるより、衣うつなる玉川の玉にゑんある八丈のきぬ狸とは化しにやと、ゆめの中におもひぬ 逆から読んでもキヌタヌキ! 絹狸は、石燕の遊び心満載の、化け狸の妖怪である。 「腹つゞみをうつと言へるより、衣…

長冠(おさこうぶり)

『百器徒然袋』より「長冠」 東都の城門にかけて世をのがれし賢人の冠にあらで、このてがしはのふたおもてありし佞人のおもかげならんかしと、夢ごゝろにおもひぬ 長冠は、神聖な冠に魂が宿り妖怪化したものである。 石燕の解説文はーー 「東都の城門にかけ…