栄螺鬼(さざえおに)
『百器徒然袋』より「栄螺鬼」
雀海中に入てはまぐりとなり、田鼠化して鶉となるためしもあれば、造化のなすところ、さゞえも鬼になるまじきものにもあらずと、夢心におもひぬ
栄螺鬼は、栄螺が鬼と化した妖怪。
なぜサザエが鬼となったのかは、石燕の解説文を読むとわかる。
「雀海中に入てはまぐりとなり、田鼠化して鶉となるためしもあれば、造化のなすところ、さゞえも鬼になるまじきものにもあらずと、夢心におもひぬ」
これは中国の諺に基づいたものであり、石燕の文をざっくり訳せばーー
「雀もハマグリになるって言うし、ネズミもウズラになるって言う。ならサザエだって鬼ぐらいになるでしょ!」
ということである。
なるほど、とてつもない発想。
しかしサザエがタラを産むこの現代、特に驚くほどの事ではないかも知れない。