瀬戸大将(せとだいしょう)
『百器徒然袋』より「瀬戸大将」
瀬戸大将は、名の通り瀬戸物が付喪神となった妖怪。
しかしながら石燕はなぜかこの瀬戸大将を三国志と絡めているのが面白い。
「槊をよこたへて詩を賦せし曹孟徳に、からつやきのからきめ見せし燗鍋の寿亭侯にや。蜀江のにしき手を着たりと、夢のうちにおもひぬ」
何の予備知識も無く解説文を読んでもサッパリだと思うので説明すると、まず出てくる「曹孟徳」と言う名前。少し三国志に詳しい人なら解るかとは思うが、これは魏(ぎ)の王であった曹操(そうそう)のこと。そうそう。
で、次に出てくる「からつやき」は唐津焼の事。佐賀や長崎で焼かれた陶器の総称であり、その技法はかつて唐から伝えられた為、唐津焼と呼ぶのだとか。
その後に出てくるのは燗鍋。これはお酒を熱するための鍋、熱燗の燗ですし。
次に寿亭侯。これは三国志の蜀の武将、あの関羽のこと。
最後に「蜀江のにしき」。これは蜀軍の成都近辺の川の水で染め上げた、成都産の染物のこと。また、日本においては京都で蜀江柄を真似た物が作られ、ここではそのことだと思われる。
つまりおおざっぱに纏めれば、
唐津焼の曹操を蜀江錦柄の瀬戸物、関羽がぶっ倒したぜ!
ということか。
……いやでも三国志強引に出しちゃってわけわかんなくなってるような気がするんですけど石燕さん……なんて夢心地におもひぬ。