山颪(やまおろし)
『百器徒然袋』より「山颪」
豪猪といへる獣あり
山おろしと言ひて、そう身の毛はりめぐらし、此妖怪も名とかたちの似たるゆへにかく言ふならんと、夢心におもひぬ
ん? まさかこの妖怪ってダジャレ??
ーーと思ったあなた。そのまさかである。
説明するまでもないほどに妖怪山颪の頭部はおろし金になっており、またトゲトゲ具合は明らかにヤマアラシである。
ご丁寧にすりおろす為の大根まで転がっているではないか。
尚、この山颪も、類似する妖怪が百鬼夜行絵巻において描かれていることから、言葉遊びと真似で石燕が創作したものだと言われている。
ーーところで、今の家庭のキッチンにはおろし金はあるのだろうか?
僕のばぁちゃんがよくしゃりしゃりと大根をおろしていたのを思い出した。
因みに因みに、北大路魯山人によれば、最高の大根おろしをいただくには、なるべく取り立ての(それこそ畑から抜いてすぐぐらいの)大根をすって作るのがいいらしい。そりゃそうだ! は言わない約束。
魯山人の本は、読んでいると腹が減るものが多いので深夜に読むのはオススメしない。しかし料理好きじゃなくともなんだか楽しく読めちゃうのはすごいーーなんて夢の中でおもひぬ。