経凛々(きょうりんりん)
『百器徒然袋』より「経凛々」
尊ふとき経文のかゝるありさまは、呪詛諸毒薬のかえつてその人に帰せし守敏僧都のよみ捨てられし経文にやと、夢ごゝろにおもひぬ
りんりん、という部分がなんとも萌える、経文の化けた経凛々。この妖怪はその可愛い名前とは裏腹に、なかなか凄い人物の捨てた経文の付喪神である。
「尊ふとき経文のかゝるありさまは、呪詛諸毒薬のかえつてその人に帰せし守敏僧都のよみ捨てられし経文にやと、夢ごゝろにおもひぬ」
解説文には、これが守敏僧都(しゅびんそうづ)の捨てたものであると書かれている。この守敏とは、かの弘法大師、空海のライバル的存在であった人物であり、空海との法力勝負に負け、その際使用されていたが捨てられたのがこの経文であると言う。
つまり空海に劣らぬ法力を持っていた守敏僧都の使用した経文の妖怪であり、その法力は相当なものだと思われる。
ところで……
法力って何??
ーーなんて正直に夢心地でおもひぬ。