乳鉢坊(にゅうばちぼう)、瓢箪小僧(ひょうたんこぞう)
『百器徒然袋』より「乳鉢坊、瓢箪小僧」
へうたん小僧に肝を消して青ざめたりしが、乳ばち坊の泉ばちのおとに夢さめぬとおもひぬ
乳鉢坊と瓢箪小僧は、それぞれ乳鉢と瓢箪が付喪神化した妖怪である。
乳鉢とは、すり鉢のような物であるが、石燕が描いたのは音の鳴る銅板に近いものだと思われる。なぜなら解説文には、
「へうたん小僧に肝を消して青ざめたりしが、乳ばち坊の泉ばちのおとに夢さめぬとおもひぬ」
とあり、瓢箪小僧にビビってた石燕を夢から覚ましたのは乳鉢坊の音であることが書かれているからだ。
一方のうな垂れる不気味な妖怪が瓢箪小僧であり、解説文を読むに脅かすのが好きな妖怪なのではないかと思われる。
また、瓢箪は古来から呪術的儀式に用いられたりもしたことから、この瓢箪小僧も数珠を手に何らかのまじないをかけているのかもしれない。
因みに、この乳鉢坊と瓢箪小僧の前の項には「経凛々」が描かれており、同時に並べて見るとまるで戦っているかのように見える。
でっていうーーなんて夢心地におもひぬ。