貝児(かいちご)
『百器徒然袋』より「貝児」
貝おけ這子など言へるは、やんごとなき御かたの調度にして、しばらくもはなるゝこと無れば、この貝児は這子の兄弟にやと、おぼつかなく夢心に思ひぬ
貝児は、貝桶という江戸時代の貝殻を入れておく道具が付喪神化した妖怪。
石燕は↑のように解説しており、貝児は這子の兄弟ではなかろうか、と書いている。
這子(ほうこ)とは、魔除けとして用いられていた、這うことができるようになったばかりの乳児を模して作った人形であり、貝児もまた這っているかのように見える。
見てくれから、貝児も赤ちゃんの妖怪であることが想像でき、貝殻を抓もうとしている様子が可愛く思える。
因みに、貝殻でどんな遊びをしていたかと言うと、比較的高貴な生まれの家で「貝合わせ」という遊びが行われていた。
貝合わせは、平安時代には貝殻そのものの美しさを競い合ったりしたが、江戸時代では現在で言うところの神経衰弱のようにして遊んだ。上下の対となる貝殻しかぴったりと合わない為、それを裏返してペアを選ぶ遊びだったようだ。
また。ペアにするということから夫婦円満の縁起物としても使われた。
ところで、貝児は頭の上に素敵な貝殻を載せていることに気が付いただろうか?
気付いたから何ということではないけれど、なんだか素敵!