妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『百怪図巻』

野狐(やこ)

『百怪図巻』より「野狐」 野狐(やこ)は、単に野にいる狐を指す場合もあるが、憑き物としての怪異(妖怪)を指す場合もある。 主に九州地方でのキツネ憑きはこの野狐が原因とされ、憑かれた者は病気になったり、または代々野狐憑きが受け継がれてしまった…

ふらり火(ふらりび)

『百怪図巻』より「ふらり火」 ふらふらと現れる火を纏った鳥の妖怪。 詳細不明だが、モデルになったのは迦楼羅神(かるらしん)だと言われる。 迦楼羅とは、インド神話における「ガルダ」が仏教に取り込まれた神である。英語圏ではガルーダとも言い、多分そっ…

幽霊(ゆうれい)

『画図百鬼夜行』より「幽霊」 幽霊は主に人間の死者が成仏できずに彷徨っている妖怪(!?)。 幽霊と妖怪の違い――などはいつだって議論される事だが、妖怪画としての幽霊はどう解釈したら良いのか? 考え始めるとどんどんややこしくなるので、広い心で考え…

目ひとつ坊(めひとつぼう)

『百怪図巻』より「目ひとつ坊」 一つ目小僧とほぼイコールと考えられている一つ目の妖怪。一つ目の妖怪のほとんどが子供(小僧)として描かれる中で、このように坊主姿のおっさんで描かれるのはレアなケース。そう考えると一つ目小僧よりも一つ目入道などに近…

牛鬼(うしおに)

『百怪図巻』より「牛鬼」 西日本を中心に伝承の残る非常に怖くて残忍な妖怪。人を襲い、喰らったり、牛鬼を見ただけでも病気になるとも言う。 海岸での遭遇が主だが、森や山など出現範囲は広い。 蜘蛛の体に牛の角、鬼の顔ーーと見た目だけで身震いしてしま…

赤舌(あかした)

『画図百鬼夜行』より「赤舌」 雲の中から現れたかのような、真っ赤な舌(または口)を持つ妖怪。 しかし正体がはっきりしていない。 六曜の赤口を由来とする説(大安、仏滅とかのアレ)、太歳(木星)の西門を守護する赤舌神を起源とする説などなどあるが、…

山童(やまわろ)

『百怪図巻』より「山わろ」 山童は山に住む子供のような姿の妖怪。 山操と書いてやまわろと読む場合もある。 山童は、西日本では河童が秋になると山に入りなるものとされており、同じように春になると川へ戻って河童になるとされる。 故に河童と同様、山童…

うわん

うわん 『百怪図巻』より「うわん」 「うわん!」と大声を上げて脅かしてくるだけのなんとも迷惑な妖怪。 解説文が一切無い為正体が謎に包まれている。 山中に出てくる、または屋敷に出るとも言う。 鹿児島や熊本の一部では化け物の事を「わん」や「わんわん…

犬神(いぬがみ)

『百怪図巻』より「犬神」 犬神は、妖怪と呼ぶよりも憑き物として伝わるモノ。 特に西日本の広い範囲に犬神信仰があり(現代においても残っている地域も多いとか)、また憑き物筋として犬神持ちの家系があったりする。 犬神の発祥としては、蠱術(こじゅつ。…

恐いおばあちゃんだけじゃないよ? 妖怪山姥(やまうば)

『百怪図巻』より「山うは」 山姥は文字通り山に現れる老婆の妖怪。 様々な説話があり、イメージする恐ろしい山姥だけでは無い。 怖い山姥のイメージで一般的なのが、道に迷った旅人を優しくもてなすが、旅人が寝たところを食べてしまうーーというもの。反し…

夢のせいれい(ゆめのせいれい)

『百怪図巻』より「夢のせいれい」『百怪図巻』の中でも特に謎の多い妖怪。杖をつき、手招きするかのようなポーズで描かれている。ほとんど石燕も描いている『百怪図巻』の妖怪だが、「夢のせいれい」だけはどれが対応しているのか解っていないらしい。諸説…

わうわう/苧うに(おうに)

『百怪図巻』より「わうわう」 わうわう、または苧うには、全身が黒い毛で覆われている山姥の一種とされる妖怪。苧は植物の「カラムシ」の事。字がイモと似てるがちょっと違う。 山姥とは言うものの、苧うにだとされる伝承では次のようなものがある。 「ある…

塗仏(ぬりぼとけ)

『百怪図巻』より「ぬりぼとけ」 黒塗りがイカす、仏壇に沸く妖怪。 目玉が飛び出している、仏壇から飛び出ている、という事以外に正体に対する解説が無い為、未だにどのような妖怪なのか具体的に解っていない。 ただ、目玉が飛び出ているということから人を…

おとろし

『百怪図巻』より「おとろし」 おどろおどろ、恐ろしい――そういった言葉が妖怪化した(と言われる)妖怪。 どの作品でも頭だけの鬼の様に描かれているが、解説文のある資料が無いためいまいち正体の解らない妖怪でもある。 ただ、おとろしは「わいら」とセッ…

元興寺(がごぜ)

『画図百鬼夜行』より「元興寺」 奈良の元興寺(がんごうじ)に現れたとされる妖怪。 元興寺の鬼、とも呼ばれる。 描かれる姿もまちまちで、↑の石燕の絵では僧の姿の鬼で描かれているが、『百怪図巻』には↓のように恐ろしい表情の人間として描かれていたりする…

髪切り(かみきり)

『百怪図巻』より「かみきり」 こっそり人の髪を切るなんとも地味な妖怪。髪の薄い人には脅威。 江戸時代にはこの妖怪のうわさが何度も飛び交ったらしい。髷を切られた……とでも言うのだろうか? 正体はキツネ説とカミキリムシ説がある。絵を見る限りではどう…

河童(かっぱ)

『画図百鬼夜行』より「河童」 河太郎ともいふ 日本国内で一番有名であろう妖怪、河童。 全国各地に伝承があり、頭に皿を乗せ、背中には甲羅にのある容姿はあまりにも有名。呼び名も沢山ある。河太郎、ガワッパ、ガタロウなどなどなどなど。 全国に伝承があ…

濡女(ぬれおんな)

『百怪図巻』より「ぬれ女」 水も滴るいい妖怪。 髪が常に濡れていることからこの名前が付いた。 しかしご覧の通り濡れた美女なのは顔だけで、首から下は気絶できる。 伝承に依ると、濡れ女の尻尾は300メートル以上あるらしく、一度見つかったら決して逃…

ひょうすべ

『百怪図巻』より「へうすへ」 主に九州地方に伝わる妖怪。ただの変態オッサンな外見とは裏腹に、笑うひょうすべに釣られて笑うと死んでしまったり、見ただけで熱病にかかって死んでしまう等、凶悪な伝承が多い。 たまに人の家の風呂に勝手に浸かってるらし…

しょうけら

『百怪図巻』より「しょうけら」 庚申待の日などに人間が正しい生活を送っているかを監視する妖怪。 もし悪事を働いていたりすれば、しょうけらの鋭い爪でたちまち内臓を切り裂かれてしまう。 『百怪図巻』以外にも、石燕は屋根の上から家の中を覗く姿を描い…

雪女(ゆきおんな)

『百怪図巻』より「ゆき女」 人気も高く、非常に有名な雪の妖怪。 どのような物語、または伝承でも、美女として語られる事が多い為か現代での創作物でもまず間違いなく美女として登場する羨ましい妖怪。 雪はとかく視界が悪くなり、精神的にも妖怪を見やすく…

見越入道(みこしにゅうどう)

『百怪図巻』より「見越入道」 日本各地に伝わる、巨大入道妖怪。 僧の姿で現れ、見ていたらどんどんと背が高くなった、または首がどんどん伸びていったーーなど多様なバリエーションを持ついまいち特性も定まらない妖怪。 見越入道に逢うと殺されてしまう伝…

姑獲鳥(うぶめ)

『百怪図巻』より「うぶめ」 出産の際に命を落とした妊婦がなると伝わる産婦の妖怪。 「産女」とも書く。 水辺に現れ、手に抱いた赤子を手渡そうとしてくる。その赤子を受け取れば、大きな力を得たり、帰って見れば赤子が石になっていたりと、バリエーション…

轆轤首(ろくろくび)

『画図百鬼夜行』より「飛頭蛮」 非常に有名な首が伸びる怪異・妖怪。 ろくろの由来となっているのは、陶芸の際に用いるろくろ、井戸のろくろ(滑車)等々、いくつかあり定まっていない。 轆轤首の原型と見られるものは「首が伸びる」のではなく、「首が飛ぶ…

猫又(ねこまた)

『百怪図巻』より「猫また」 年老いた猫がなると言われている妖怪。化け猫と同一視されがちだが、一応起源が違うので別の妖怪。でもほぼ一緒。 猫又が初めて文献に現れたのは鎌倉時代の『明月記』で、一晩に何人もの人間を食い殺した、と書かれている。ただ…

わいら

『百怪図巻』より「わヰら」 他のいかなる妖怪画集にも下半身が描かれていない謎の妖怪。 「畏畾(わいらい)」という、かしこまる、畏る、という意味の言葉が元ではないかという説が僕個人としては一番説得力がある。故に下半身が描かれず、常に平身低頭………

反響、こだまの原因となる妖怪、山びこ(やまびこ)

『百怪図巻』より「山びこ」 山で声が返ってくるこだま現象の正体と言われる妖怪。 今でこそ解明されてしまっているこだまだが、かつては怪異であったことが伺える。 因みに鳥山石燕は「幽谷響」という字を当てている。 『画図百鬼夜行』より「幽谷響」 描か…

ぬらりひょん

『百怪図巻』より「ぬらりひょん」 妖怪の総大将と水木しげる先生は書いているが、辿ってみると海坊主の一種のなんてことはない妖怪である説が濃厚。 「ぬらり」と現れ「ひょん」と逃げる、と言われている為、クラゲやタコを妖怪化したのではないか? という…

ぬっぺふほふ・ぬっぺっぽう

ぬっぺふほふ 佐脇嵩之『百怪図巻』より「ぬつへつほう」 かの徳川家康の元にも現れたとされる肉の塊妖怪。のっぺらぼうの原型とも言われている。 徳川家に現れた際には、皆が中国に伝わる「封」という妖怪と信じ捕まえようと試みるも逃げ足が速いようで捕ま…

火車(かしゃ)

鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「火車」 墓場より人の死体を盗むと言われる妖怪。 言い伝えは各地にある為、どこから沸いたかを特定するのは難しいと思われる。 仏教の地獄にも火の車に乗った獄卒がいたりするので、火車もそのあたりの価値観を吸収しているの…