ひょうすべ
『百怪図巻』より「へうすへ」
主に九州地方に伝わる妖怪。ただの変態オッサンな外見とは裏腹に、笑うひょうすべに釣られて笑うと死んでしまったり、見ただけで熱病にかかって死んでしまう等、凶悪な伝承が多い。
たまに人の家の風呂に勝手に浸かってるらしく、毛は抜けてるわ臭いわで増々凶悪な妖怪である。
通報したり殴りたい気持ちをぐっと堪え、素直に逃げるのがベストである。
――ただし、このひょうすべ、河童の一種とも言われており、何気に河童より歴史が古いとまで言われている。
さらに、起源をさかのぼると、このひょうすべは中国の武神「兵主神」が起源になっており、兵器開発のスペシャリストだった。
それが日本に伝わり、アホの坂田化したのみならず、人様のお風呂で大量抜け毛という落ちっぷりである。
否、それも恐ろしい兵器開発の試験だとしたら……。
このふざけ過ぎの恰好からは想像もできない恐ろしい開発を未だに続けているに違いない。そうあってほしい。
京極夏彦の小説、『塗仏の宴』での「ひょうすべ」の項にて、ひょうすべの起源を巡る講釈がかなりのページを割いて書かれている。そこでは菅原道真とひょうすべの関係(天神様と水神の関係、ということになる)や河童とひょうすべの違いなどが細かく語られていいるおり、そういう方面の話が好きな人にはたまらない考察になっているのでぜひ読んでみてほしい。
石燕もひょうすべを描いていて、こちらもやっぱり挑発するキモイおっさんにしか見えない。
『画図百鬼夜行』より「ひゃうすべ」