火車(かしゃ)
鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「火車」
墓場より人の死体を盗むと言われる妖怪。
言い伝えは各地にある為、どこから沸いたかを特定するのは難しいと思われる。
仏教の地獄にも火の車に乗った獄卒がいたりするので、火車もそのあたりの価値観を吸収しているのだろうとは思う。
また、「魍魎」と同一視されることもあり(魍魎の逸話の一つに死体の肝を食らう、というものがあるため)一層ややこしい。
火車は絵の多くが猫のような妖怪が車を引く姿で描かれる為、正体は猫、あるいは猫又なのではないか? という見解が根強い。
(これは猫が死体の発する臭いを敏感に嗅ぎつけ、掘り起こそうとする習性があるかららしい)
近年でも火車に死体を奪われないよう、まじないを唱えるなどの火車対策はリアルに地域に依っては残っていたりする。
奪った死体を一体どうするのかは火車のみぞ知るところ。
『百怪図巻』より「火車」