ふらり火(ふらりび)
『百怪図巻』より「ふらり火」
ふらふらと現れる火を纏った鳥の妖怪。
詳細不明だが、モデルになったのは迦楼羅神(かるらしん)だと言われる。
迦楼羅とは、インド神話における「ガルダ」が仏教に取り込まれた神である。英語圏ではガルーダとも言い、多分そっちのほうが馴染みがあるはず。
ガルダは、光や熱を放つ炎を纏う神鳥であり、それが仏教に取り込まれ日本に伝わったと考えるのはとても自然で無理がない考え。
なぜ「ふらり火」という名が付いたかは解らないが、富山県に伝わる、戦国武将佐々成政にまつわる「ぶらり火」の伝説と関係があるのかも知れない。
あるいは、ただ単にフラフラ彷徨う怪火のことをそう名付けた可能性もある。
しかし『百怪図巻』のふらり火も、『画図百鬼夜行』のふらり火も、どことなく情けない顔をしているのが好印象である。
もっとシャンとした顔だったのなら名前も変わっていたのかも知れない。
『画図百鬼夜行』より「ふらり火」