赤舌(あかした)
『画図百鬼夜行』より「赤舌」
雲の中から現れたかのような、真っ赤な舌(または口)を持つ妖怪。
しかし正体がはっきりしていない。
六曜の赤口を由来とする説(大安、仏滅とかのアレ)、太歳(木星)の西門を守護する赤舌神を起源とする説などなどあるが、やっぱり決定的ではない。
赤舌は赤口とも呼ばれ、『百怪図巻』には真っ赤な口を開ける妖怪が描かれている。
『百怪図巻』より「あか口」
また、水木先生の本によると、赤舌は河童の仲間だとも言われているようで、こんな逸話も載っていた。
――津軽のある村で、大変な旱魃があった。水門の下流に暮らす人々は、上流に住む村人に「こっち苦しいから水門開いてけろ」とお願いしたが、ケチな上流の村人は取り合ってくれなかった。そればかりか、こっそり水門を開けに行った村人が打ち殺されるという事件まで起きた。
最早下流に暮らす村人達は雨乞いをするほかになかった。
するとある日、水門が開け放たれ、下流の村に水が大量に流れてきた。
しかし上流の村人は誰もそんなことをしておらず、閉めても閉めてもまたすぐに開け放たれてしまったのだという。そしてそれは、「赤舌」という妖怪の仕業だったのだという。
優しい妖怪なのだ。
僕の知識ではコイツの正体を見定めることなど当然できないが、一つだけ解るのは、眉毛が濃い、ということだけである。