妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

しょうけら

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『百怪図巻』より「しょうけら」

 

庚申待の日などに人間が正しい生活を送っているかを監視する妖怪。

もし悪事を働いていたりすれば、しょうけらの鋭い爪でたちまち内臓を切り裂かれてしまう。

『百怪図巻』以外にも、石燕は屋根の上から家の中を覗く姿を描いている。

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『画図百鬼夜行』より「せうけら」

 

因みに庚申待(こうしんまち)とは古くからある民間信仰で、人間の体内に三尸という虫がおり、庚申の夜に天へ昇って天帝にその人の罪を報告し、天帝はそれによりその人の命を奪うとされていることから、庚申の夜は三尸を体外に出さないよう眠らずに過ごす――という行事である。

この庚申信仰は本当にややこしくて、ルーツも複雑。宗教なのか? というとそうでもないけれど、宗教色が強いのも確かなので混乱する。

庚申信仰は荒神信仰とか大黒天とか山王権現とか天台宗とか帝釈天とかとかとか、本当に多くのモノと関わりがあり、調べ始めるとまさに妖怪に憑かれる(疲れる)。

その片鱗を味わいたいなら、吾らが厨二王(厨子王)こと京極夏彦の著、『塗仏の宴』にてかなりマニアックかつ面白い考察がなされているので読んでみるといいと思う。

 

例えば――石燕の絵では、しょうけらは窓から人々を覗いてる。

しかし本来は「人々が三尸虫が閻魔様にちくりに行かないよう監視する行事」なのである。人々が監視するはずが、画では監視されている。……本末転倒。

ややこしくなって結果的に本末転倒したこの信仰を石燕は風刺したんじゃないか?

みたいな話が長々と続くので好きな人にはたまらない考察になっている。

そういうの嫌いな人は般若心経でも読んでると思って耐えれば良い。

 

兎にも角にも普段から正しい行いをしていれば大丈夫。コウシンマチがいつなのか解らなくても大丈夫。どうせみんないっぱい悪いことしてるでしょ!

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