病虫(びょうちゅう) 医学の発達していなかった昔は、病に掛かると大体が「憑き物」や「病虫」のせいにされた。 実際に寄生虫が元で発症した病もあったのだろうが、神社や寺で信心深く祈れば病も治ると信じていた時代だから、実際の原因特定は困難だったの…
雪爺 雪女がいれば雪爺もそりゃいるだろう。 雪爺は雪の降る夜などに深山現れ、旅人を脅かす。無害である。主に岐阜県で伝わっている。 別名を雪入道とも言うが、雪深い地域に出るこの手の妖怪は一本足の足跡を残す――という言い伝えが多く、一本ダタラ との…
大蜘蛛(おおぐも) ※画像はやり過ぎましたが、イメージです。 長野県のとある村に、母と子だけで暮らす農家があった。 息子はちょいと訳ありで、病に伏せっていたのだが、ある晩から突然「蜘蛛がいる……蜘蛛がいる……」と呻くようになった。 母親は息子の呻く…
屁の河童! この国の言葉には、沢山の妖怪が隠れています。妖怪名なんて全然知らないし、妖怪にも興味無い。――そんな風に思っている人でも、慣れ親しんだ言葉の中にはうようよと魑魅魍魎が潜んでいて、日常的にソイツラはあなたの口から飛び出しているのです…
一声叫び(ひとこえさけび) 妖怪は人に声を掛ける際、なぜか同じ言葉を繰り返すことをしない。 岐阜県大野郡の山では、その決まりを守り、人と人とが呼び合う場合は必ず二回繰り返して呼び合ったのだという。 仮に妖怪の一声に反応してしまうと、良くないこ…
スネカ(すねか) ミソカヨーと似たような酷いタイトルに我ながら酒が進む。 我が国のなまはげ、あまめはぎなどの「泣く子はいねが妖怪」。 このスネカも、岩手県に伝わる上記のなまはげらと同様の妖怪だとされている。 このスネカは、怠け者がコタツや囲炉…
ガラッパ(がらっぱ) ガラッパをただの河童の訛った野郎と思ってもらっては困る。 奄美大島や南の方の島にしか生息しないと云われる、モデル系カッパなのだ。 というのも、このガラッパ、とにかく手足が長い。セクシーに岩に腰かけようものなら、膝の高さは…
べとべとさん 背後の気配を妖怪に例えた結果生まれたのがこのべとべとさんである。 奈良県や静岡県によく現れたとされるが、背後の気配なんて奈良・静岡じゃなきゃ感じないなんてわけないので全国に似たようなモノはいるのだろう。 名前がべとべとなのは、背…
麻桶毛(まゆげ) 正確には「麻桶(あさおけ)の毛」だが、妖力の高すぎる水木先生の御力でこれをマユゲと読んだのだ。 とにかく。 麻桶毛は徳島県に現れたとされる妖怪で、しっかりと古書にも記述がある。 彌都比売神社(やつひめじんじゃ)で麻桶の中に入…
川猿(かわざる) お皿つけてちゃ、命は奪えない。 ――今日も妖怪うぃき的妖怪図鑑は平常運転。 川猿はいわゆる「カッパ系」に分類される妖怪で、静岡県に現れるとされる。 河童は大体が獺や鼬などが正体なんじゃないか、とされる地域が多いが、同時に猿起源…
石川悪四郎(いしかわあくしろう) とにかくまずは読んでみてほしい。 芸州(広島)の話である。 五太夫という男が、三左衛門という男に妖怪を見に行かないか? と誘われた。 二人は妖怪が住むと云われる山へ向かい、様々な怪奇現象に遭いながらも頂上へ辿り…
岩魚坊主 イワナ、ヤマメといった渓流の、それも奥の方に多くいる魚の類というのは往々にして妖怪視されやすいものである。 それは釣り人達が魚を「女性」に例えて神聖視したことなどに端を発しているのかも知れない。神秘的な雰囲気の渓流で、優雅に泳ぐ魚…
熊風 熊風は、北海道で大正時代に起きた、日本で最も規模の大きかった獣害事件、「三毛別(さんけべつ)羆事件」において、ヒグマを射殺した直後に天候が急転したことから名が付いた怪異である。(それ以前にも伝承はあったらしいが) この三毛別羆事件は、…
油坊 ついに今日、仕事帰りに寄ったスーパーにてオリーブオイルを買った。 今まで一度も使った事が無い――とかいうわけじゃないのだけれど、もこみちのせいで何だかオリーブオイルを買うのが恥ずかしくなって随分買ってなかったのだ。(何年買ってないんだよ…
最強の妖怪を決めるのです 妖怪の中で最強を決めるーーこれはとんでもなく野暮な事には違いありません。 しかしそれでもナンバーワンを決めたがるのが人の性。 また、男というものはどうしても「最強」を知りたがり、そして「最強」になりたがるものです。 …
板の鬼 気持ちは解る。 板の鬼(笑) よわそう(笑) 興味湧かなすぎ(笑) ――モニター越しに多くのバッシングが聞こえてくるが、板の鬼は『今昔物語集』に書かれている由緒ある妖怪なのだ。 そして板の鬼の恐さは、ちょっと名前からは想像できないほどである。 …
金の神の火(かねのかみのひ) ざわ…… ざわ…… ざわ…… ざわ…… 伊予(愛媛)の怒和島では、大晦日のある神社の裏で、ざわざわと騒がしい音がすることがあるのだと言う。 それはまるで人がわめいている音のようであり、人々はそれを「歳徳神がいらっしゃった」…
一目五先生(いちもくごせんせい) 一目五先生はかなりマニアックだが、中国に伝わる妖怪である。 五匹の妖怪で成り立つ変わった妖怪で、常に先頭を歩く一匹のみ、一つ目が付いている。 他の四匹には目はなく、先頭の目つきを「一目先生」と呼び慕っている。…
ミソカヨー 山の神系妖怪の紹介でこんなタイトルを付けたんだからきっと僕は祟られる。 マジカヨー。 長野県の方に怒られそうだが、ミソカヨーは大晦日に山に出ると云われる妖怪である。 山が神聖な場所とされてきたのはこの日本ではとても有名なことだが、…
薬缶吊る 長野県では、ある決まった木によく薬缶がビヨ~ンと下がってくるという怪が起きた。 これが、妖怪薬缶吊るである。 中国の書記『捜神記』にその由来はあるのでは? とも言われているが、ヤカンをぶら下げるだけの簡単なお仕事なので元は誰かの悪戯…
野火(のび) 先日、雨の夜は怪火のターンと書いた。 怪火、鬼火の類は往々にして地味で、不気味なものであるが、この野火は違う。 土佐(高知)に伝わるこの怪火は、まず場所を選ばない。 どこにでも突如として現れるのである。 大きさもなかなかで傘程。そ…
ザン 人魚伝説の中で、人魚の正体なのでは? と度々話に挙がるのがジュゴンである。 沖縄県では古くからこのジュゴンは神聖視されており、ザンノイオやアカンガイユという呼び方もされる。 神の使いとされていたジュゴンの肉は、霊薬とされ、不老長寿をもた…
画霊(がれい) 喜多川歌麿画『山姥と金太郎 頰ずり』 読んで字の如く、画霊は画(え)に宿る霊の妖怪である。 本邦ではヤカンだろうが枕だろうが石だろうが、あらゆるものに魂とか神が宿ってしまうそりゃもう恐ろしいほどの八百万っぷりなので、魂込めて描…
妖説・摩訶般若波羅密多心経 ついに般若心経に触れる時が来ました。 しかしですね、一般的にもかなり普及していて、さらに解説の類もネット上には無数に溢れています。ここでそれらの真似ごとしたってちっとも面白くありませんし、二番線ホームでお茶を煎じ…
オッパショ石(おっぱしょいし) 石の妖怪は無数に存在していて、また「持つと重くなる」系の話も全国に存在する。 このオッパショ石もそうで、徳島県に実際にある墓石であり、力士の墓なのだとか。 夜にそこを通ると、「おっぱしょ、おっぱしょ」と声を掛け…
死人憑き(しびとつき) 死んでしまった者が甦るというのは人類の夢でありファンタジーでもある。 しかしこの死人憑きの逸話は、ぬか喜びしてられない生々しい感じになっていてとても面白いので、紹介する。 鳥取県での出来事。 ある農家の男が、長い間病気…
ヤザイモン蛸(やざいもんだこ) タコは美味いがいかんせん高い。 かつて僕がたこ焼き作りにはまった時、初めてタコの値段の高さを知り、たこ焼きって高級料理じゃねぇかチキショー! なんて思ったものである。 しかしタコは歯ごたえがあり、うまい。 食べ物…
遺念火 夫婦はとても仲が良かった。 妻は夫の為に夜遅くまで働き、夫も妻の為にと懸命に働いた。 しかし二人の愛は互いに強すぎた。 夫はそのうち帰りの遅い妻を「浮気をしているのでは?」と疑うようになった。 やがて夫のその妄執は大きくなり、ある日夫は…
大坊主 坊主の種類は数あれど、のっぺらぼうのようなおどかし方をしてくる変わった妖怪がこの大坊主である。 昔因幡の国(鳥取)にある武士がいて、宿泊先の宿にて「この辺りには大坊主っちゅうバケモンが出る」という話を耳にした。 んじゃあちょっくら退治し…
タテクリカエシ とんでもない速さで月日は流れて行き、それも日々繰り返し同じような生活をしているからなのだろうと思うわけだが、じゃあ毎日全然違うこと、新しいことばかりをやりながら生きていったら相当充実した人生が送れるんじゃなかろうか、なんてふ…