念願のオリーブオイルと油坊(あぶらぼう)
油坊
ついに今日、仕事帰りに寄ったスーパーにてオリーブオイルを買った。
今まで一度も使った事が無い――とかいうわけじゃないのだけれど、もこみちのせいで何だかオリーブオイルを買うのが恥ずかしくなって随分買ってなかったのだ。(何年買ってないんだよって話)
気付けばスーパーのオリーブオイルコーナーにはより取りミドリのオリーブオイルが所狭しと並んでいて、壮観である。いつからなのか。
ただ、普通にオリーブオイルを買おうと思っているのに無数に置かれても結構困るもので、「そうねやっぱりエクストラヴァージンよね」なんていうこだわりがあるわけないので結局は安くて量があってかつキケンな雰囲気のしない商品を選ぶことになる。
(話は逸れるが、イオン系列のスーパーには必ずあるトップバリューシリーズ。すんごく安いのは感動するけれど、あれはダメだと思う。前にレトルトカレーを大量に買い込んだことがあるのだが、本当にマズかった。カレーなんてまずくする方が難しいと思うのだけれど……。あの安さ、あの味。腐った肉どころか何の肉かすらわからん妖怪シリーズだと思う)
で、なんだか少し幸せな気分で帰宅して、オリーブオイルをキッチンに並べて、
「何に使うんだよ」
と愕然としながらセルフツッコミして今にいたる。
故に今宵は油坊を紹介する。
油坊は滋賀県や京都府に伝わる怪火である。
油系妖怪や怪火妖怪は、「油を盗んだバチが当たった」みたいな逸話が多く、この油坊もあろうことか比叡山の油を盗んだ僧侶が元だとか。
今でこそピンと来ないが、昔は油はとても貴重なものだったので、油を盗むというのはけっこう悪いことなのである。
食用油が広く普及したのは明治時代になってからで、それまではごま油、アブラナの油、魚油などがあったようだがほとんどは明かり用に使われたらしい。
江戸なんかでは家屋が密集していた上に燃えやすかったので、高級料理だった天ぷら屋が営業停止になっていた時期すらある。
とにかく、油が貴重品と考えれば、それを盗んで罰せられる妖怪が色々な地域にいるというのもちょっと納得できるというものだ。
無計画に油を盗ったり買ったりしたら痛い目を見るのだ。
とりあえず今からオリーブオイル飲んでくる。