妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

大蜘蛛と蜘蛛蕎麦

大蜘蛛(おおぐも)

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※画像はやり過ぎましたが、イメージです。

 

長野県のとある村に、母と子だけで暮らす農家があった。

息子はちょいと訳ありで、病に伏せっていたのだが、ある晩から突然「蜘蛛がいる……蜘蛛がいる……」と呻くようになった。

母親は息子の呻く原因となっている蜘蛛をなんとか見つけようとするのだが、一向に見当たらない。それでもやはり息子は「蜘蛛がそこに……」と言い続けた。

それもきっと譫言だろうと思っていた母親だが、ある日同じように息子が蜘蛛の事を言うので周りを見回してみると――”見えた”のだった。

それはとても普通の蜘蛛ではない、人ほどの大きさの大蜘蛛で、蜘蛛は糸を出すと母親にぐるぐると巻きつけて締め上げた。思わず大声で悲鳴をあげると、周りの家の男達が何事かと駆けつけてくれた。

男達が数人掛かりで蜘蛛に斧を振り上げ切り刻み、なんとか蜘蛛を退治できた。

それからというもの、息子の病も回復していったのだが、蜘蛛に噛まれたような大きな傷だけがずっと体中に残っており、消えることはなかったのだという。

 

――また、蜘蛛である。

蜘蛛妖怪記事を書くと僕には必ず蜘蛛が何かをけしかける決まりとなっているようなので、今回も警戒していたのだが、やはりソレは起きた。

 

さきほど晩飯にと蕎麦を茹でていた。なべ底に蕎麦が引っ付かないようにグルグルと菜箸でかき混ぜていたら――大蜘蛛が浮いてきたのである。

最低な気分。僕は蜘蛛湯で蕎麦を茹でてしまったようだ。

マジである。写メ撮ってブログにアップだ! とも思ったが、割とプライベートは大切にしているのでブログよりも蕎麦を食べることに注力すべく、すぐに蜘蛛さんは多分燃えるだろうから燃えるゴミの袋にポイしてすぐに湯切りした。

そこでちょっと冷静になった。

茹で汁から蜘蛛が出た――確かにあまりありふれたことではないだろう。でも、鍋にフタをしてたわけでもないし、蜘蛛なんかしょっちゅう見るわけだから、ちょっと目を離した隙に風呂好きな蜘蛛が勘違いしてダイブしちゃったって別に不思議ではないのだ。

蜘蛛の出汁で茹でた蕎麦。

もちろん、おいしく頂きました。

いつもよりコシがあってワサビと絡んで大変美味しいお蕎麦でござんした。

これからの季節、鴨蕎麦もいいけど蜘蛛蕎麦も良い。(わけねーだろ)