オッパショ石~喋られちゃあ敵わない~
オッパショ石(おっぱしょいし)
石の妖怪は無数に存在していて、また「持つと重くなる」系の話も全国に存在する。
このオッパショ石もそうで、徳島県に実際にある墓石であり、力士の墓なのだとか。
夜にそこを通ると、「おっぱしょ、おっぱしょ」と声を掛けてくるようで、意味は「おぶってくれ」。
どうにも妖怪というのはおぶって欲しがるヤツが多い。
で、こういう妖怪のもう一つの特徴として、「おぶっていると段々重くなる」というものがある。
このオッパショ石の逸話でも、力持ちの男がどれおぶってやろうと持ち上げると、思ったより軽かったのだが、歩を進めるごとに重くなり、最後には「なにくそこの妖怪め成敗!」と叩き割ってしまうのだ。ヤケクソにも程がある。パワーストーンを愛でる人々からは抗議殺到だろう。
それ以来オッパショ石が声を出すことはなくなったようで、現在は割れて二つになった墓石を繋ぎ合わせたものが現存するようだ。
さて。
ここで一つ思ったのが、「段々重くなる現象」というのは案外普通に起きている気がするのだ。
例えばものすごぉく重そうな荷物を、「よし気合入れて持ち上げるぞ!」と持ち上げると、思ったよりは重くなく、「なんだ案外軽いじゃん」なんて思う。
しかし案外軽いとはいえ普通の荷物より重いソレは、ちょっと運んでいる内にすぐに「やっぱりクソ重い」と感じるようになる。
更に体は素直だから、普段使わない筋肉をフル活動している為か、ガクっとガタがきて余計に重く感じるようになる。
それこそ「歩を進める毎に段々と重くなる」と言い表せなくもない。
――この類の妖怪が、上記のような「日常でもよくある」現象を元に作られていたのなら、恐くもなんともない。
ただし、忘れてはいけないのは、オッパショ石は喋るのだ。
石に喋られちゃあ、もうお手上げである。
よって、やはりオッパショ石は妖怪の類なのだ。