ヒビクリカエシ、タテクリカエシ
タテクリカエシ
とんでもない速さで月日は流れて行き、それも日々繰り返し同じような生活をしているからなのだろうと思うわけだが、じゃあ毎日全然違うこと、新しいことばかりをやりながら生きていったら相当充実した人生が送れるんじゃなかろうか、なんてふと思った。
どういうわけか、人の足に纏わりついて足を進まなくさせたり、転ばせたりする妖怪というのは全国に伝わっている。
日々の繰り返しの中、何度も転び足が進まなくなる事もあるし、そういうこともまた妖怪のせいにされたのかも知れない。
まぁこれはちょっと違うけれど。
とにかく、タテクリカエシは新潟県や高知県に伝わる妖怪で、坂道を杵(きね)のような物が転がり落ちてきて、たちまち人の足を掬い転ばせるのだという。
杵っていうのは、月の兎が餅つきする時に持ってるアレだと思えば良い。
ただし、ハンマーみたいな形状の方ではなく、細い砂時計みたいな形(どんな例えだ笑)の方である。因みにそれは「手杵」とか「兎杵」と呼ばれる。豆。
また、そっちの形状の杵は「竪杵(たてぎね)」と称されることから、タテクリカエシの言葉の意味がちょっと垣間見える。
「タテギネがひっくり返しに来る」という程の意味か、「タテギネが繰り返し回転しながら転がってくる」という意味か。どっちかだろうとは思う。
往々にしてこういうちょっとしたイタズラ妖怪というのはタヌキが正体と決まっていて、このタテクリカエシも狸の仕業説がやっぱりある。
仮に狸が正体として、やはりあいつらは目の付け所が良い。臼でも転がしゃいいものを、あえて杵なあたり。
危害を加えるのが目的ではないからなのだろうが、それだからタヌキは憎めない。
【化け狸】取らぬ狸の皮算用【妖怪変化】 - 妖怪うぃき的妖怪図鑑