妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『絵本百物語』

塩の長司(しおのちょうじ)

『絵本百物語』より「塩の長司」 塩の長司は、馬食を好んだ長次という男の奇談。 長司は長者であり、家にはたくさんの馬を飼っていた。ある日より馬を食べることにハマった長司は、どんどん家の馬を食べていく。すると当然馬が少なくなってきた。長司はそれ…

桂男(かつらおとこ)

『絵本百物語』より「桂男」 桂男は、月に住むと言われる、超イケメン妖怪。 伊勢物語から万葉集まで、様々な文献において桂男は美男子を示す言葉として使われてきた。 『絵本百物語』によると、月を長く見ていると、たまに桂男が現れて月から手招きをすると…

夜の楽屋(よるのがくや)

『絵本百物語』より「夜の楽屋」 夜の楽屋は、妖怪というよりは人形に霊が籠るという類の怪異。 『絵本百物語』によるとーー 人形には、遣う人間の魂が入りとどまることは芝居に携る人々のよく知るところだ。 夜の楽屋で高師直(こうのもろなお)と塩谷判官(え…

舞首(まいくび)

『絵本百物語』より「舞首」舞首は、三つの首だけ妖怪。『絵本百物語』の本文と画中解説文とで内容が異なっているのだが、三人の男が争いの果てに首だけになり、それでもまだ争い続けているーーという部分は同じである。本文では、酔った勢いで刀の斬り合い…

柳婆(やなぎばば)

『絵本百物語』より「柳婆」柳婆は『絵本百物語』に描かれている、柳から現れたばばあの妖怪。『絵本百物語』上では前項が鍛冶が婆であり、強烈な連続ばばあ妖怪である。また、『絵本百物語』には「柳女」という似たような柳の妖怪も描かれている。柳は様々…

鍛治が婆(かじがばば)

『絵本百物語』より「鍛治が婆」狼がばばぁを食い殺して乗り移った妖怪。『絵本百物語』によるとーーある鍛治職人の妻が、刀代の残金を受け取りに出かけたところ、帰りにオオカミに囲まれて食い殺されてしまった。それ以来その妻が幽霊となって旅人を捕り食…

風の神(かぜのかみ)

『絵本百物語』より「風の神」妖怪としての風の神は、偉大なる風神のイメージとは少し違う。古来より病などをもたらす妖怪として恐れられ、風の神が吐く息に触れると病気になると言われていた。その為、風がもたらす邪気として、カゼを「風邪」と書くように…

山男(やまおとこ)

『絵本百物語』より「山男」 山男は日本中の山々に伝わる、背の高い大きな人間の姿の妖怪。 稀に人を食う等の恐い伝承もあるが、基本的には人々の手伝いや、迷った人間の道案内等、友好的に書かれている場合が多い。 正体については、『絵本百物語』には「山…

鬼熊(おにぐま)

『絵本百物語』より「鬼熊」 鬼熊は、超パワータイプの熊の妖怪。 家畜の馬や牛を奪っては持ち帰り食べると言われる。(↑まさにお持ち帰り中) 特筆すべきはそのスーパーパワーで、人間が十人掛かりでもビクともしない大岩を鬼熊師匠は簡単に動かしてしまう…

お菊虫(おきくむし)

『絵本百物語』より「お菊虫」 お菊虫は、皿屋敷伝説などで有名な(後述)お菊が虫になったとされる妖怪。 皿屋敷のお菊とは―― 屋敷に皿洗い担当で奉公していたお菊という娘が、ある日皿を一枚割ってしまう。そのせいでお菊は指を切り落とされた末に監禁され…

天火(てんか)

『絵本百物語』より「天火」 天火は全国に事例のある怪火の一種で、ぶらり火ともいう。 『絵本百物語』には「これによって家を焼かれた者や死者が多数いる」とある。 『絵本百物語』内の説話では―― あるところに非情な代官がおり、やりたい放題なのでとにか…

累(かさね)

『絵本百物語』より「累」 累は『絵本百物語』に出てくる妖怪であり、また累ヶ淵(茨城県にある地名)で起きたとされる実話が元になっている怪異譚でもある。 『絵本百物語』によれば―― 下総の国羽生村に、与右衛門という男とその妻おつわが住んでいた。 お…

五位の光(ごいのひかり)

『絵本百物語』より「五位の光」五位の光は、アオサギ、ゴイサギが正体とされる、発光現象の一種。科学はつまらないので、バクテリアによる発光現象が有力ーーなんて言っているが、そんなことはあり得ない。五位の光なのだ。鳥自体がひかっているのだ。そう…

手負蛇(ておいへび)

『絵本百物語』より「手負蛇」手負蛇は『絵本百物語』に描かれている、人間によって傷付けられた蛇の妖怪。蛇は大変執念深く、『絵本百物語』の手負蛇もまさに復讐へとやって来たところである。面白いのが、蛇は邪念のある者の元にしか現れないということで…

遺言幽霊 水乞幽霊(ゆいごんゆうれい みずこいゆうれい)

『絵本百物語』より「遺言幽霊 水乞幽霊」この、ペアの幽霊は、主に信心深くあれ、と説くための妖怪であると思われる。遺言幽霊は、死の際に現世に未練を残してしまう者がなる幽霊とされ、水乞幽霊は仏道に疎い者であるがゆえ、渇いた時でも甘露の雨が注いで…

赤ゑいの魚(あかえいのうお)

『絵本百物語』より「赤ゑいの魚」 赤ゑいの魚は超巨大なエイの妖怪。 その大きさは凄まじく、↑絵にもあるように島と間違えて人が上陸してしまう程である。解説文にも三里(10キロぐらい)と記されている。 『絵本百物語』には島と間違えて赤ゑいの魚の背中に…

歯黒べったり(はぐろべったり)

『絵本百物語』より「歯黒べったり」歯黒べったりは『絵本百物語』に描かれている、名前の通りお歯黒べったりな女性の姿をした妖怪。狐狸の化け損なった姿とも言われ、そのことからのっぺらぼうの一種とも言われる。『絵本百物語』の解説を読む限りでは、危…

帷子辻(かたびらがつじ)

帷子辻 『絵本百物語』より「帷子辻」 帷子辻は、現在の京都市帷子ノ辻周辺で起きた怪異。 簡単に言ってしまえば、腐乱した女性の死体が見える怪異であるが、その元となっている物語はなかなか面白い。 『絵本百物語』によれば、檀林皇后という美しい皇后が…

波山(ばさん)

『絵本百物語』より「波山」 波山は愛媛県に伝わる巨大怪鳥の妖怪。 婆沙婆沙(ばさばさ)という名でも伝わる。 『絵本百物語』によると、波山は深薮に住み、夜行性な為滅多に人の前には現れないという。 夜にはよく空を翔ぶが、その時の音が「バサバサ」とい…

芝右衛門狸(しばえもんだぬき)

『絵本百物語』より「芝右衛門狸」芝右衛門狸は兵庫県に伝わる、日本を代表する三大狸の一つに入る名狸。『絵本百物語』に依れば、大変教養もあり博識で、おじいちゃんに化けていたが皆にも大変好かれていたらしい。しかし人間の姿で芝居を見た帰り、犬に正…

葛の葉(くずのは)

『絵本百物語』より「葛の葉」 葛の葉は伝説上の狐とされる妖怪。 元は信太の森に住んでいた狐であるが、安部保名に助けられ、恩返しにと「葛の葉」と名乗り女性の姿で現れる。そして保名と結婚した後子供も作る。この子供は名前を童子丸と言い、この子が後…

溝出(みぞいだし)

『絵本百物語』より「溝出」溝出は死体を入れた棺に起きた怪異であり、妖怪というよりも「死者をちゃんと扱ってやらないとダメだぞ」という教訓を込めたモノであるとされる。『絵本百物語』にも古い塚や石碑などは、例えそこに死者が埋葬されているわけでは…

出世螺(しゅっせぼら)

『絵本百物語』より「出世螺」 出世螺は、法螺貝が長い年月を経て(山に三千年、里に三千年、海に三千年)龍になった妖怪。 山に法螺貝が住んでいて龍になるという伝説は各地に残っており、直近では明治時代にも崖崩れの後から龍が飛び出し、天へ昇って行っ…

白蔵主(はくぞうす)

白蔵主 『絵本百物語』より「白蔵主」 白蔵主はキツネが化けた妖怪。 白蔵主は元は寺の僧の名で、その僧の甥の猟師が、キツネを捕えて皮を売って生活していた。しかしそのせいで夢山に住む白ギツネから男は恨みを買ってしまっていた。 そこで白ギツネは白蔵…

手洗鬼(てあらいおに)

『絵本百物語』より「手洗鬼」 その巨大さ瀬戸大橋をも跨ぎ、山々に足をかけては大海にて豪快に手を洗う。 ダイダラボッチの一種とされる手洗鬼は、四国で主に現れたとされる巨人の妖怪。 やはりダイダラ一族はスケールが違う。 『絵本百物語』のダイダラボ…

老人火(ろうじんび)

『絵本百物語』より「老人火」 山奥を歩いていて、さらに大雨が降っていると見ることがあると言われる怪火と老人の妖怪。 老人火に出会った際の対処法は、獣の皮で叩くと消えるらしい。水をかけても消えない。 しかし普通の人が外出時に獣の皮を持っている可…

柳女(やなぎおんな)

『絵本百物語』より「柳女」 柳女は、柳の木の下に現れる、子を抱く女性の妖怪。 柳の木というのは、あのしな垂れた枝から柔らかい、優しいイメージを連想する為、古来から女性的なものと考えられてきた。その為柳の木に纏わる幽霊や妖怪の逸話は多く、これ…

山地乳(やまちち)

『絵本百物語』より「山地乳」 まず、コウモリが年をとると野衾(のぶすま)という妖怪になり、さらに年をとると山地乳という妖怪になり、山中に隠れ住むらしい。まさかの進化型妖怪である。 山地乳は、眠っている人間の寝息を絵のようにチュウ~っと吸い取…

豆狸(まめだぬき)

『絵本百物語』より「豆狸」 可愛らしい佇まいの化け狸の一種、豆狸。しかし被っているのは陰嚢である。 『絵本百物語』によると、広げると八畳もある陰嚢を持ち、関西以西に多く棲んでおり、犬くらいの大きさで、通常の狸よりもずっと知能が高く、陰嚢に息…

周防の大蝦蟇(すおうのおおがま)

『絵本百物語』より「周防の大蝦蟇」 周防の大蝦蟇は、槍を手にしたイカツイ巨大なガマガエルの妖怪。 『絵本百物語』には蛇を捕って喰らうと書いてある。 さらに、虹色の気を吐くらしい。素敵。 因みに体長は八尺(約2.4メートル)。デカイっちゃデカイが、…