累(かさね)
『絵本百物語』より「累」
累は『絵本百物語』に出てくる妖怪であり、また累ヶ淵(茨城県にある地名)で起きたとされる実話が元になっている怪異譚でもある。
『絵本百物語』によれば――
下総の国羽生村に、与右衛門という男とその妻おつわが住んでいた。
おつわは淫乱でよこしまな考えを常に持っている女で、何度も嫁いでは離縁を繰り返していた。その為、村では悪意を持って、離縁を重ねてきたおつわを「累(かさね)」と呼んでいた。
おつわは大変嫉妬深く、夫である与右衛門が浮気をしているのを知り、激しく怨み、ついには殺し、自らも井戸に身を投じて自殺してしまった。
さらに与右衛門が生前浮気していた相手である「お菊」にもその怨みは降りかかり、お菊は憑りつかれる事になる。
世に「累物語」というのがあって、その中では累は与右衛門に殺されたことになっているが、それは作り話である(と、『絵本百物語』には書いてある)。
――結局のところ、累が悪いと言うよりはそもそも浮気した与右衛門が悪いのであって、「そういう悪い行いをした者には天罰が下るんだ。普通の人はまっとうに生きてればそんなことないよ。ちゃんと本を読んで教養を身につけ、道を誤らず生きてれば例え生霊死霊に囲まれてたって憑りつかれたりはしないもんだよ」と結ばれている。
長くなったのでまとめれば、
真っ当に生きろ
ということか。
画中解説文
かさねが死霊のことは、世の人のしるところ也。
うぃき訳
累の死霊譚はみんな知ってるよね?
追記:累ヶ淵の大元になっている話を纏めた記事を書きました。累物語の生々しい真相について深く知りたい方はぜひお読みください⇒