豆狸(まめだぬき)
『絵本百物語』より「豆狸」
可愛らしい佇まいの化け狸の一種、豆狸。しかし被っているのは陰嚢である。
『絵本百物語』によると、広げると八畳もある陰嚢を持ち、関西以西に多く棲んでおり、犬くらいの大きさで、通常の狸よりもずっと知能が高く、陰嚢に息を吹きかけることで大きく広げて部屋などの幻を人に見せたり、自ら陰嚢をかぶって別の者に化けたりしたという。
元禄年間、魯山という俳諧師が旅先で知り合った者の家に泊めてもらった。その夜、八畳で主人と俳句を作っていた魯山は、煙草の吸殻をうっかり畳に落としてしまった。その途端、畳が一気に捲れ上がり、八畳間も家も消えてしまったという。なんとその畳は豆狸の陰嚢で出来ていたのだ。すごい陰嚢のデカさ! 更に豆狸が化けていたと思われる主人は魯山と俳句を嗜んでおり、頭の良さも窺える。
画中文
小雨ふる夜は、陰嚢をかつぎて肴を求めに出るといふ。
うぃき訳
小雨の夜には玉袋担いで酒の肴を探しに現れるんだよ。アラカワイイ