柳女(やなぎおんな)
『絵本百物語』より「柳女」
柳女は、柳の木の下に現れる、子を抱く女性の妖怪。
柳の木というのは、あのしな垂れた枝から柔らかい、優しいイメージを連想する為、古来から女性的なものと考えられてきた。その為柳の木に纏わる幽霊や妖怪の逸話は多く、これは日本だけでなく中国にも多くの柳に纏わる怪異が伝わっている。
因みに、同じ『絵本百物語』内に、「柳婆」という妖怪もいる。なぜ同じ書に同じような柳の妖怪が描かれたのか? ……謎である。
画中解説文
若き女の児をいだきて、風のはげしき日柳の下を通りけるに、咽を枝にまかれて死しけるが、其一念柳にとゞまる、夜な夜な出て、口をしや恨めしの柳やと泣けるとなん
うぃき訳
若い女が風の激しい日に子供を抱いて柳の下を通った。すると柳の木の枝が喉に絡みつき、死んでしまった。それ以来、その柳の木には女の念がとどまり、夜な夜な現れては「口惜しや、恨めしのの柳や」と泣くという。