白粉婆(おしろいばば)
『今昔百鬼拾遺』より「白粉婆」
紅おしろいの神を脂粉仙娘と云
おしろいばゝは此神の侍女なるべし
おそろしきもの、しはすの月夜女のけはひとむかしよりいへり
白粉婆は、腰の曲がった厚化粧の老婆の妖怪である。
石燕の解説文には、白粉婆は紅おしろいの神、脂粉仙娘(しふんせんじょう)の侍女であると書かれている。
また、「師走の月夜、女の化粧(けわい)は恐い、と昔から言うよね」とも書いてあり、白粉婆が出現するタイミングのヒントになっている。
描かれた白粉婆は片手に杖、もう一方の手には徳利を持っている。
「酒を分けてくれんかねぇ」などと民家を尋ねて歩くのかも知れない。
しかし逆に、実際にそのような生活をしていた老婆がいたとしても何ら不思議では無い為、実在の人間から生まれた妖怪という説もある気がする。
因みに、かつての白粉には鉛が含まれており、それによって様々な病気を発症する原因にもなっていた。白粉婆もまた、そのような症状を引き起こしてしまった人の妖怪化された姿、と考えることもできそうである。
もし現代で白粉婆に遭遇してしまったら、もっと良いファンデーションでも薦めてあげて呪われてしまおう!