デリケートなオケツ(おけつ)
オケツ(おけつ)
オケツは岡山県に伝わる産怪の一種である。
出産時、稀に生まれてしまうとされるオケツは、毛むくじゃらで亀のような見た目をしており、縁の下に逃げ込まれる前に捕まえて殺さないと、妊婦がとり殺されてしまうのだという。
因みに、中国医学から伝わった言葉で、血流の悪い状態などを指す「瘀血」というものがある。
生理不順などでも用いられる言葉であることから、この妖怪オケツとの関係が無い――ということはなさそうである。
察しの良い方はすぐにピンときたかとは思うが、産怪の類というのは基本的にデリケートな部分を多く含んでいる。
隠さず有体に言えば、その多くは「奇形児」や「未熟児」が元になっているであろうことは容易に想像できる。
医学の未発達だった時代では、ちょっと見慣れぬ容貌の赤ちゃんが生まれたら、すぐに「妖怪」とされ、殺されていたのだろう。
まさにそれを徹底的に妖怪らしく仕立てた逸話が今回紹介している「オケツ」なのではないだろうか。
その点に関する是非はここでは省略。
人によって考え方があるだろうし、古来そうして赤ちゃんを殺してきたことを絶対に間違いだ、とも、絶対に正しかった、とも少なくとも僕には言えない。
実は妖怪にはそうした暗い背景が数多く存在している。差別だとか迫害だとか。
たまに記事中で触れたりはしているものの、妖怪を追いかけている以上、いつかはしっかり書かなきゃなぁ、とは思っている。
そのためにはまず僕自身の考えをしっかり持たなきゃ始まらんのに、それがハッキリしないものだから、なかなか書くに書けないのである。