琵琶牧々(びわぼくぼく)
『百器徒然袋』より「琵琶牧々」
玄上牧馬と言へる琵琶はいにしへの名器にして、ふしぎたびたびありければ、そのぼく馬のびはの転にして、ぼくぼくと言ふにやと、夢のうちにおもひぬ
ちょいと待ってよあんたぁ!
ーーな格好がなんとも女々しくて可愛い琵琶の妖怪。
なんといっても語感がいい。
びわぼくぼく。びわぼくぼく。
僕琵琶牧々。
琵琶法師同様、目を閉じているのはやはり盲目なのだろうか?
石燕の解説文によると、鎌倉時代の順徳天皇が書いた書に、玄上と牧馬という琵琶の名器があったと言う。それらはあまりの妖しい音色に鬼も魅せられてしまうほどだったと言う。
妖怪「琵琶牧々」はこれらの琵琶が付喪神となったものだという。
鬼をも魅せる琵琶の音色を奏でる琵琶牧々。ぜひとも聞いてみたいものだーーと、夢の内におもひぬ。