方相氏(ほうそうし)
『今昔百鬼拾遺』より「方相氏」
論語曰、郷人儺朝服而立於阼階註儺所以逐疫周礼方相氏掌之
※ろんごにいわく きょうひとのおにやらいにちょうふくしてそかいにたてり
ちゅうにおにやらいはえきをおうゆえんなり しゅらいにほうそうしこれをつかさどる
方相氏は四つ目を持つ鬼の妖怪。
一応妖怪画に載っているので妖怪としたが、そもそもは現在の豆まきに於ける節分の原型になっている宮中行事が元である。
知っている人は知っているだろうが、追儺(ついな)と呼ばれる旧暦での大晦日に、鬼を払うべく四つ目の面を被った特殊な職位である「方相氏」が、四隅に蔓延る鬼を追い出す、という行事であり、その為四方を見る為の四つ目が付いている。
しかし不思議なのは、本来鬼を追い出す役目であった方相氏が、いつからか意味が逆転し、方相氏=鬼、という風に解釈されるようになってしまった。
これがつまり現代の節分の原型なのだが、なんだか方相氏はかわいそうである。
因みになぜ鬼を追い出すのに「豆」を使うかと言うと、特に鬼が豆嫌いな偏食家なのではなく、「魔が滅する」という語呂合わせ説がある。
そんなんで豆ぶつけられる鬼(方相氏)は更に可哀相。