野衾(のぶすま)
『今昔画図続百鬼』より「野衾」
野衾は鼯の事なり
形蝙蝠に似て、毛生ひて翅も即肉なり
四の足あれども短く爪長くして、木の実をも喰ひ、又は火焔をもくへり
長い年月を経たコウモリがなるとされる妖怪。
人の血を吸うだけでなく火も食べるグルメ家。人の視界を塞ぎ、血を吸うという地味ながら恐ろしい妖怪。
石燕の解説文では、「野衾はムササビのこと」と書いているのでムササビかも知れない。コウモリ説が涙目。
原因を考えるに、コウモリもムササビも、夜目が効き、暗闇でも餌を捕る事が出来る。その為人の持つ明かり目掛けて間違えて飛んで来るようなこともあったのだろう。そういった現象を「野衾」だとしたならば、コウモリでもムササビでも間違ってはいないと言える。
『絵本百物語』では、「野鉄砲」と「野衾」は同じ、としている。