あなたのお肌にオススメの三妖怪「天花生」、「死化転」、「ベイビーパウダー」
ふわふわぱふぱふとしたお肌にも良さそうな妖怪がいる。
一見全く無関係なように思える三妖怪ではあるが、因縁めいた深い繋がりを持っている。
冬もこれから、お肌のケアも大切になるこれからに備え、今宵はそんなあまり知られていないふわふわぱふぱふ妖怪達を紹介したいと思う。
sakki画「天花生(てんかふ)」
母親は雪女、父親は雪男――というこれ以上ない雪ん子として産まれたのが天花生ちゃん。
雪を冠する妖怪の娘だけあって、何も無い場所にでも手に持った綿飴状のミニ杖で祈ればたちまち雪が降る。
雪国の方にとっては迷惑でしかないだろうが、雪の降りにくい地域の方にとっては大変珍しく嬉しい妖怪と言えるだろう。
そして天花生の降らせた雪は、まるで天瓜粉(てんかふん)のようにサラサラふわふわしており、それに触れるとお肌がしっとりサラサラになるという。
sakki画「死化転(しっかろーる)」
一方、雪国に近いがそこまで降雪量の多くない地域で生まれたとされるのがこの死化転クン。父親は極寒の冬そのものを指す言葉が妖怪となった「冬将軍」で、母親は「山姥」というこれまた奇怪な夫婦が生んだとされる死化転。
反骨精神が強く、幼少期から他の季節を(特に秋)憎み、秋の神を弓矢で射殺すのを現在の目標としているらしい。
しかしその刺々しい身なり、性格とは裏腹に、死化転の射る弓からは真っ白な粉が舞い、それに触れるとお肌がしっとりサラサラになると言われている。
――この天花生と死化転は、全く関係の無い妖怪と思われがちであるが、元は一つの妖怪(伝承)だったのではないか、とも言われている。
それは似たような特徴を持つことや、名前の元になったと思われる天瓜粉とシッカロールは原料こそ違えど効能は全く同じであるということからである(オセロとリバーシの関係と同じ)。
しかし両親についての伝承が全く異なっていることが妖怪研究家達の間で最大の論点となっている。
――そして近年、新たに海外で天花生と死化転に関係があるとされる妖怪(妖精)についての伝承が見つかり、混乱は増している。
sakki画「ベイビーパウダー」
それはイタリアに伝わる妖精で、一般的にはベイビーパウダーと呼ばれている。
現れた者には美と健康を約束する、と伝わる妖精で、舞う時には羽から柔らかい粉が散るという。
新たに見つかった書物に書かれたベイビーパウダーの記述には、――日本と思われる国で雪を見たベイビーパウダーが、物の怪の産んだ子に自らの鱗粉をふりかけ、魔力を与えた――というようなことが書いてあるらしい。
しかしそれだけではなんとも怪しい。が、すぐにその疑念は払拭された。
死化転(しっかろーる)のシッカロールとは、ラテン語の「シッカチオ」、乾かす、という意味から来ている言葉。イタリアといえば古代のラテン語の影響を強く受けている言語を用いるとして有名である。
そして天花生。イタリアでは、ベイビーパウダーを意味する言葉の前によく「caelum」と付ける。これは「天から来た」というほどの意味であり、全てを日本語に強引に直すと「天からの子の粉」となる。「天子粉」である。
捏造されたにしてはあまりにも出来過ぎではないだろうか?
まだまだ研究は途上である。
お風呂上りに天瓜粉(シッカロール)やベビーパイダーを使う際には、もしかしたら元は妖怪だったのかも? なんて考えながら使えばお肌の保湿効果もグンとアップする……かも知れない。
妖怪画提供sakki様。