天井嘗(てんじょうなめ)
『百器徒然袋』より「天井嘗』
天井の高は燈くろうして冬さむしと言へども、これ家さくの故にもあらず
まつたく此怪のなすわざにて、ぞつとするなるべしと、夢のうちにおもひぬ
なんのことは無い天井をペロペロ嘗めてくれる妖怪である。
古い時代の家屋は、天井を高く作るのが主流であった。すると部屋の灯りが届かない箇所が出来てしまう。それは、天井嘗が作った闇なのだ――と石燕は説明している。
この天井嘗も、『百器徒然袋』内の他の妖怪と同じく、徒然草に出てくる文章、「天井の高きは、冬寒く、燈暗し」を元に創作された妖怪であり、石燕の解説文にも似たような事が書いてある。
しかしなぜ天井嘗は腹が出ているのか?
そんなに天井には養分があるのだろうか?