磯撫で(いそなで)
『絵本百物語』より「磯撫で」
磯撫で(いそなで)は、西日本近海に伝わる魚の妖怪。
北風が強く吹くと現れ、人を襲うその瞬間まで決して姿を見せず、海面を撫でるかのように泳ぎ近づいてくる。
そして充分に人間に近付くと、尾びれの針で引っ掛けて海中に落とし、食べてしまう。漁師が魚に釣られる――という皮肉たっぷりの恐ろしく頭の良い妖怪である。
モデルになったのは鰐(サメ)だとも言われ、似たような妖怪に影鰐(かげわに)という妖怪もいる。
日本版ジョーズとでも言おうか、ともかくサメはやはり昔から怖がられていたようだ。
画中解説文
西海におほく有。其かたち鱶のごとく、尾をあげて船人をなで引込てくらふとぞ。
うぃき訳
西の海に多く生息している。その姿はフカのようで、尾を上げて船上の人を海中に引き込み、食べちゃう。