さがりものの怪
ぶら下がり系妖怪対策
いやほんとに妖怪ってのは随分マニアックなもんですよ。
特に系統別で分類してみると、その度合いは強まります。これも全て水木先生が描いてくれたから、名だけの現象だった妖怪もキャラクターとして甦って図鑑にまで載るようになったわけで、妖怪の歴史は水木先生なくして語れないンでしょう。
それはともかく――。
今回はぶら下がり系妖怪対策。
妖怪検定公式HPの例題でも、茶袋が出てます。
一体どうしてこのようなぶら下がり系が全国に伝わっているのか不思議ですが、地域によってぶら下がっているモノは様々。
茶袋(ちゃぶくろ)
公式中級サンプル問題にも出ている茶袋は、高知県幡多郡の妖怪。
これに当てられると様々な病気を引き起こすようで、地味ながら怖い茶袋です。
茶袋の項には他のいくつかのさがり系妖怪の名前が列挙されています。
馬の足(うまのあし)
福岡県では、あちらこちらに出たと伝わる馬の足。
まぁなんだかわかりませんがとにかく馬の足がぶら下がるようです。
古塀から枝をさしだしている木の枝に、夜になると馬の足がぶら下がっており、気付かずに通ると蹴とばされる――そうです。すっげぇ痛そうです。
ハカタメンタイウマノアシで覚えましょう。福岡です。
釣瓶落とし(つるべおとし)
トラウマ妖怪の筆頭、釣瓶落としです。近畿、四国、九州に出るようですが、特に京都に多いと記載されています。
顔がドスドスと落ちてくる絵はなかなか見ごたえあります。
次に紹介する釣瓶火と名前が似ているので要注意です。
釣瓶火(つるべび)
怪火でもありまたぶら下がり系でもあるややこしい妖怪、釣瓶火。
九州、四国地方では青白い火を放つ釣瓶火が夜に見られたといいます。
じっと火を見つめていると、中に人の顔などが見えることもあるとか。
さがり
岡山県邑久郡(おくぐん)に出るとされるのが、このさがり。
名前は一番わかりやすいのですが、こいつは馬の首が下がっているというもので、馬の足と混同しないよう要注意です。
ヤカンヅル(やかんづる)
信州(長野県)では、薬缶が下がります。これもやはり夜遅くに出るようです。
『捜神記』の似たような逸話が載っていて、ヤカンヅルもこのようなわけがあるのかも知れない――と結ばれているので、捜神記という名前と大体の逸話の内容は覚えておいた方がいいかも知れません。
――大体このぐらいでしょうか?
数は少ないのですが、油断すると間違えちゃいますし、何より「ぶら下がっている」という地味な特徴故に失念しがち。
このぶら下がり系妖怪は調べると面白くて、有名な油すましなんかもぶら下がり系だった可能性があったり、野衾なんかも似てたり、色々出て来ます。
夜は頭上に気を付けろ! という教訓から生まれたものなのか、それとも他の原因があったものか。謎多きぶら下がり系妖怪、この機にまるっと覚えてしまいましょう。