夏目前! 心霊スポットでの妖怪・幽霊の作り方
妖怪・幽霊の作り方
夏もすぐそこ。つうかもう暑過ぎてフライングサマーしてる感もありますが、夏と言えばバカが沸き、バカが沸けば心霊スポットが賑わうというのは古今変わらぬ怪異です。
そこで今日は、心霊スポット巡りを百倍楽しむ妖怪・幽霊の作り方をレクチャー。
※ここでの妖怪や幽霊は、あくまでも錯覚や「いるように感じる」、というモノとします。
そもそも心霊スポット巡りの一番の醍醐味は、何も無く「あー怖かったね」で終わるのではなく、誰かが見ちゃっただの感じちゃっただの言いだすことにこそあります。
そういう素敵な心霊スポット巡りにするためにも、ここは一つ井上円了先生の「コックリさん」の記述を参考に、これを読んだあなたが起爆役として盛り上げて行って欲しいと思います。
準備編
円了先生が暴いたコックリさんの記述は、迷信を暴くプロセスよりも、核心をついた「怪現象の起きる時」の考察が面白いです。
それはコックリさんだけにとどまらず、多くの人の心に沸く妖怪現象らの説明にもなっているからです。
心霊スポットを盛り上げる為にも、この準備だけは怠ってはいけません。というか準備だけが重要です。
準備といっても小道具などがいるわけではなく、メンツ選びだけです。
円了先生のコックリさんが動いた時のデータでは、
・信心深い者がいた時。
・女子がいた時。
が特によくコックリさんが動いたとあります。
これをそっくりそのまま応用すればいいわけです。
逆に学のある者がいる時は動きにくい――というデータもありますが、神仏幽霊魑魅魍魎をこれっぽっちも信じない超インテリ君(こういう人、マジでたまにいるんです。どれだけ不気味な場所も全く怖がらない無敵の出来杉君が)が入っていない限り、別にちょっとぐらいの頭の良さは平気でしょう。
それよりも、信心深い者一人と、女子を必ずメンツに一人は加えること。
その二人さえメンツに加えられれば、他にどんな人物がいようがまず大丈夫でしょう。
起爆編
はい心霊スポットにやってきました。
道中、車内では大変盛り上がり、「幽霊出てきたら俺がやっつけてやんよwww」とか言ってる男子もいるでしょう。
じゃあ幽霊の定義って何?
とか野暮な事は間違っても聞いてはいけません。落差もまた重要な要素。心霊スポットに到着するまでは大いにはしゃげばよいのです。
車を降りて、みんなで少し固まりながらワイワイと心霊スポットの奥へと入って行きます。仮にここでは廃病院としましょう。
――ここで円了先生データで、コックリさんがよく動く条件には「厳かな雰囲気」も重要だとあります。
その点は大丈夫でしょう。多くの心霊スポットは雰囲気バツグンなはず。それこそ地元ヤンキーの皆々様が花火でもやっていない限りは。カップルがイチャイチャしてたりしたら適当に「この病院で命を落とした看護師と患者の霊」とでも思っておきましょう。
さぁ、条件は整いました。
そろりそろりと進む道中、きっと女子は「なんか私やだなぁ~」とか言い出しているかも知れません。
女子はあなたの一押しを待っています。今こそその時です。
起爆ボイスのバリエーションはいくつかあります。好きなものを選び、ご自分でアレンジして最高の起爆ボイスを模索してみてください。
・「え……今の聞こえた?」
・「(遠くを指差して)なぁ……あれ誰?」
・「ここ、一気に空気が変わったよな。あれ? 俺だけ?」
・「やばいよ……ヤバイってマジで。やばいよぉぉぉぉ!!!!」
・「(女子の耳元で)ねぇ、俺これ以上進むのマジで危険だと思うんだ。そう思わない?」
注意点として、女子が強気なオレオレタイプだと怖気づかない可能性があります。
しかしあきらめず、ジワジワとみんなを不安にするような発言を続けていれば、きっといつか誰かが「妖怪や幽霊を見て(ような気になって)」くれます。
妖怪出現編
あなたの起爆ボイスが効き、一人が突然ありもしない寒気を感じ始めました。
そしてまた一人が「もうやめよう」としきりに言い出しています。
女子も顔を真っ青にしながら、泣きそうな顔であなたの腕にしがみついています。
あなたはその間も起爆ボイスを唱え続けてください。
やばい、もう帰ろう、ここは俺達が来るべき場所じゃなかった、祟りだ、怨霊だ、とかとか。
さっきまでの楽しい雰囲気は消え去り、皆の心には不安が宿り、もしかしたらそこで引き返すことになるかも知れません。
しかし、あなたには重要な役目があります。
このブログはあくまでも妖怪図鑑。
心霊現象や幽霊の仕業でコトが終わってしまってはいけません。
不安マックスで引き返すみんなの前で、最後にこう叫び、全力で走りましょう。
「ぅお、鬼だァァァァッッッ!!!」
あなたが叫び、走り出すことで、その場の全員がパニックになり、見事その廃病院には「鬼」が誕生することになります。
まぁここは鬼じゃなくても、ナマズでもカエルでも天使でもサキエルでもマイケルでもなんでもいいんですが、とにかく迫真の演技で叫び、走ることが重要です。
しかしできればこの妖怪ブログを見て実践する方は妖怪名を叫んでくれると嬉しいです。
呪いの残滓編
心霊スポットを面白半分で訪れ、地域住民に迷惑をかけていることも知らず、ゴミを捨て散らかし、騒ぎまくる。
そんな輩にはまだまだおしおきが必要です。
最低な性格のあなたは、翌日も決してぬかりなく「妖怪」を生み出し続けなければなりません。
深夜に心霊スポットを回ったのですから、きっとみんな寝不足。あなたは早起きして、全員に電話をかけ、こうささやきましょう。
「昨日の一件以来身体が物凄くダルイんだ。そっちは大丈夫?」と。
単なる寝不足ですが、きっと昨晩の体験をしたみんなは、それもまた「心霊現象」だとか、「憑りつかれた」とでも思ってくれるでしょう。
できればそこで全員を集められれば最高です。ファミレスでもなんでもいいです。
もしそれが叶ったのなら、あなたは昨晩訪れた廃病院の、ありもしない逸話を語りましょう。なるべくおどろおどろしい、不気味な話にしましょう。
そこを訪れ、憑りつかれた者は全員死んでしまう――ぐらいでもいいかも知れません。
「さっきから真っ黒な鬼が手招きしてるのが見える」とか言うのもグッドです。
その話をしてから、みんなの様子はすこしずつおかしくなっていくかも知れません。
特に女子と信心深い者には効果が出やすいでしょう。
あなたも出来れば自分のしたウソの逸話を、信じ込む努力をしましょう。
あなたは憑りつかれたのです。取り返しのつかないことをしたのです。
――ある日、女子と連絡が全く取れなくなるかも知れません。それでいいのです。効果抜群です。
――信心深い者の気が触れた、という噂を聞くかも知れません。それこそベストな結果です。喜びましょう。
一つのグループをおかしくすることが出来たのなら、できれば何度でもシーズン中に同じことを違うグループにもしかけましょう。
何度も何度も。
何度も何度も。
何人も何人も。
何人も何人でも。
狂わせ、壊し、陥れましょう。
そしてあなた自身が晴れて鬼になります。