馬の首妖怪さがり
さがり
木からぶら下がり、道行く人々をおどかすと言われているのが、妖怪さがり。
さがりは馬の首だけの妖怪で、それが突然ブランと落ちてくるのだから驚かない方が凄い。
ただ落ちてきて驚かすという逸話だけでなく、偶然に人助けをした逸話もある。
ある男が山賊に追われていた。なんとか逃げ隠れようと一本の木に登ると、そこには馬の首だけの妖怪「さがり」が寝ていた。
男が驚いて思わず声を出すと、さがりの方も驚いて飛び起き、そのまま木の下へと落下してしまった。
するとちょうどそこを追っかけて来た山賊が通りかかり、さがりは山賊の頭をグシャリと潰してしまった。
しかしさがりは何事も無かったかのように、一人ぶつぶつ言いながら木の上へと戻って行ったのだという。
――さがりは一説には道中で死んだ馬の霊とも言われるが、木の上で呑気に寝ているあたり、別に何かに恨みがあったわけじゃなさそうでもある。
さがり、という名前の由来は、ぶら下がりから来ているのだとは思うが、お相撲さんが廻しの前に付けているひらひらしたヒモもさがりと言ったりするので、正確な由来は判らない。
余談だが、水木先生の描いた妖怪「さがり」は、木からぶら下がる際に手で木の枝を掴んでいる。
手!?