地縮(じちぢみ)
地縮(じちぢみ)
地縮は越中国倶利伽羅山辺りで起きたと言われる怪異である。
『北国奇談巡杖記』に記述があり、蜃気楼に似た(または同じ)現象であると思われる。『北国奇談巡杖記』によるとーー
晴れでもなく曇りでもない平穏な時に起きやすく、普段は見えもしない遥か彼方の景色が目の前に広がる。
木や谷川の流れる音まで手に取るように聞こえ、獣や旅人の姿まで悉く見て取れる。
この景色は、陰気水煙の気によって現れるのではないだろうか。
雨が降りそうな時に遠い島が近くに見える現象と似たようなものか。
けれども理解できないのは、松風や水音まで聞こえることで、この事に関しては他の国でも聞いたことがない。
ーーとある。
確かに視覚だけならまだしも、音まで聞こえるというのは凄い。
名前の地縮というのも、ただそう見える、というだけでなく、物理的に地面が縮んでるんだ! と言うが如くである。
蜃気楼とタヌキバヤシが偶然同時に起きたのなら不可能ではない現象かもしれないが、よく起きる、というのだからもっと違う原因があるのだろう。
これはマジ怪異!