意味の解らぬ言葉達『月百姿』より「史家村月夜 九紋龍」
『月百姿』より「史家村月夜 九紋龍」
今年もマスクを買った。
お徳用の一杯入ってるやつ。
毎回違うのを買ってしまうので、時には耳に掛けるヒモが細くて痛かったり、予想以上にサイズが小さくてキツかったりと失敗も多い。
しかし今回買ったのは今までの中でも一番「アタリ」と呼べるものだった。
耳に掛けるヒモも平べったいヒモで痛くならないし、ウィルスも99%カットと書いてあるし(どのマスクも大体そうだけど。なぜそこまで頑張れて100%に出来ないのか)、サイズも申し分ない。
次回もこれを買いたい、と思ったので覚えられそうな項目を探してみたのだが……
まず商品名は「エコディスポマスク」。意味が解らない。そしてその名前の下に小さく「サージカルマスク」。どっちなの。
「立体ブリーツ形状」。うんわからない。バクテリアバリア性99%(←カケンテストセンターの試験結果)。
――しかし、きっとわかる人にはすんなりわかることなのだろう。
こういうのって面白いと思う。
例えば妖怪関係でよく出てくる「魑魅魍魎」という言葉も、意味を知らなければ、変にかっこつけた難しいだけの言葉、と思う人だっているかも知れない。
知っているからこそ理解できる。当たり前だけど。
でも、ごく稀に、知っちゃったら残念……という言葉もあったりする。
意味はわからないけれど、その言葉が並んでるとなんだかトキメク、みたいな。
――そんなわけで(?)今宵紹介するのは「史家村月夜 九紋龍」。
イカス刺青こそ九匹の青竜。故に渾名は九紋龍!
本名、史進! 星、天微星! 序列、二十三位! 役職、騎兵軍八驃騎兼先鋒使!
是一体何之話!? 意味稚内!
さて。九紋龍・史進は、未だに熱烈なファンもいるであろう中国の「水滸伝」の登場人物の一人である。(百八星の中でも最初に物語に登場することから、主人公だと主張する説もある)
ヤクザ者と仲良くしたりする侠客男であったが、後に梁山泊(豪傑達のアジトみたいなもの)入りする。
水滸伝では、百八の魔星の生まれ変わりたちが活躍する設定になっていて、九紋龍史進は天微星の生まれ変わり、ということである。
そして役職は、梁山泊内でのもの。簡単に言い換えれば「騎馬隊長」みたいなものかと思われる。
因みに画題の「史家村月夜」の史家村とは史進の生まれた村の名前。恐らくはまだただの暴れん坊だった頃の史進を描いたものなのだろう。
尚、九匹の龍を従えていたりするわけではない。刺青が渾名になっただけである。
このように、ちょっと知るだけでも「九紋龍」さんもグッと身近な存在に(気持ちの問題)なる。
ただ、
「いみわかんねーけどなんかカッケェェ!」
と思っているだけの方が楽しいこともあるわけで、意味を知ることが絶対に良いこととは言い切れない、と僕は思う。
知った方が面白い場合の方が多いけどね。