しろくてまるくて石みたいななにか 石麪(せきめん)
石麪(せきめん)
妖怪の中でも怪異に相当すると思われる不思議な石のような食べ物、石麪。
『北国奇談巡杖記』に、その不思議な食べ物の不思議な話が書かれている。
加賀国石川郡(現石川県)の鶴来という場所で起きた出来事。
ある年の大飢饉の時、あまりにも食うものが無くて餓死寸前の村人達が、祠で神に祈り続けていた。
するとある日、空が突然曇り、石のような真っ白な物が降ってきた。
それは食べてみると甘くて、乳のような味がする。
このありがたい天からの贈り物のおかげで、多くの人が救われた。
これは中国にも伝わる「石麪」の類であろうと思われる。
ーーという話。
一見なんじゃそりゃな話のようだが、この書によると他にも石麪が降ると言われる地域はあるらしく、度々起こった現象だとも書いてある。
更に、『和漢三才図会」にも載っているものの、それは「いしそうめん」と書かれていることから白くて丸いこの石麪とはちょっと違う。
『北国奇談巡杖記』の文には、中国の『本草綱目』にある「石麪」なのではないか? と書かれているので、その薬学書である『本草綱目』を調べてみると――
……。よし、解散だ!
僕的には、その甘くて乳味の食べ物が、一体どのような柔らかさなのかが凄く気になったのだが、想像で補うことにする。
名の通り石のような固さなのか、それともフワフワのモチモチなのか。
味はともかく、固さというのも凄く大事だと思うのだけれど。。。
しかしながら、実際に大飢饉に見舞われている人々にとっては味も固さも二の次で、とにかく有り難かったのだろう。そんな現象が起きたのなら、そりゃもう神様だって信じると思う。