百々目鬼(どどめき)
『今昔画図続百鬼』より「百々目鬼」
函関外史云、ある女生れて手長くして、つねに人の銭をぬすむ
忽腕に百鳥の目を生ず
是鳥目の精也
名づけて百々目鬼と云
外史は函関以外の事をしるせる奇書也
一説にどゞめきは東部の地名ともいふ
百々目鬼は、腕に無数の目が付いた妖怪。
石燕の解説文に、
「ある女生まれて手長くして、つねに人の銭をぬすむ。忽腕に百鳥の目を生ず。是鳥目の精也」
とある。
ある女が銭泥棒をし過ぎていたせいで、腕に鳥の目が百も出来てしまった。
とのことだが、まず当時の銅銭は中央に穴が開いていることから「鳥目(ちょうもく)」という呼び方をされていた。つまり石燕が言っている「鳥目の精」というのは銭の精であり、手に出来た目もその銭の呼び方からきていると思われるので、石燕が言葉遊びで創作した妖怪との見方が強い。
また、鳥目(とりめ)という、夜に視力が低下してしまう病気があるが、もしかしたら腕に出来た目は夜には見えない鳥目であり、悪さが出来ないようになった、という解釈もできるのではないだろうか?
とにかく謎解き要素の多い面白い妖怪である。