妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

片輪車(かたわぐるま)

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『今昔画図続百鬼』より「片輪車」
 
むかし近江国甲賀郡によなよな大路を車のきしる音しけり
ある人戸のすき間よりさしのぞき見るうちに、ねやにありし小児いづかたへゆきしか見えず
せんかたなくてかくなん――つみとがはわれにこそあれ小車のやるかたわかぬ子をばかくしそ
その夜女のこゑにて、やさしの人かな、さらば子をかへすなりとてなげ入れける
そのゝちは人おそれてあへてみざりしとかや
 
片輪車は燃える牛車の片輪車に女を乗せて街を走る恐ろしい妖怪。
片輪車はいくつか伝承があるが、共通するのは「子供をさらう」ということである。
京都の伝承では、車輪に直接顔が付いている片輪車が伝わっており、見た者の子供をさらう。京都バージョンは顛末も恐ろしく、片輪車は見た女の子供の足を加えて走り去ってしまう。
 
一方滋賀県に伝わるのは、石燕が描いたように片輪に女が乗っており、やはり見た者の子供をさらう。しかし片輪車を見た女が「子供をさらわれてしまったのは目を離していた私にも罪がある。反省してるから返してください」という旨の歌を書き、それを読んだ片輪車は「優しい女だ。返してやろう。それに一度姿を見られてしまった場所にはもう現れることはできない」と言い、もう二度とその村には現れなくなったという。
 
ーー一体片輪車はどのような経緯から生まれた妖怪なのか?
もしかしたらかつては牛車に乗った人さらいというのがいて、それを妖怪化した話ーーなんてこともあるかも知れない。
 
因みに、石燕の描いた片輪車に乗る女性は、どことなくポーズとかが同じく石燕の描いた「姑獲鳥」に似てる。関係あるかはわかりません。