沓頬(くつつら)
『百器徒然袋』より「沓頬」
鄭瓜州の瓜田に怪ありて、瓜を喰ふ霊隠寺に僧これをきゝて符をあたふ
是を瓜田にかくに、怪ながくいたらず
のち其符をひらき見るに、李下不正冠の五字ありと
かつてこの怪にやと、夢のうちにおもひぬ
石燕の創作妖怪盛りだくさんな画集『百器徒然袋』に出てくる二体でセットの付喪神の妖怪。
「沓頬」の沓は読んだ通り靴であり、頬はこの場合冠を指しているようだ。
この妖怪の元となっているのが、古い時代の中国の民謡でてくる諺、「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」から来ている。これはざっくり言えば「人に疑われるような行為はするな」という意味になる。
瓜の畑で靴を履きなおせば盗む者と疑われ、李(すもも)の木の下で冠を被りなおせば李を盗むと疑われる――ということらしい。
また、沓の方の妖怪は『百鬼夜行絵巻』に描かれているものがモデルとなっているようだ。
多分コイツ↑。