毛倡妓(けじょうろう)
『今昔画図続百鬼』より「毛倡妓」
ある風流士うかれ女のもとにかよひけるが、高楼のれんじの前にて女の髪うちみだしたるうしろ影をみてその人かと前をみれば、額も面も一面に髪おひて、目はなもさらにみえざりけり
おどろきてたえいりけるとなん
文字通り毛だらけの遊女(倡妓)の妖怪。
吉原の遊郭を風刺し、石燕が創作した妖怪とも言われる。
石燕の解説文に依れば、ある男が後姿を見て知っている女だと思い込み声を掛けてみたところ顔も見えない程の毛だらけの女であった、と書いている。
因みに、『今昔画図続百鬼』の毛倡妓の前には「青女房」、後ろの項には「骨女」が描かれている。
これが一体何を意味しているのか(または意味なんて無い)は解らない。
また、江戸時代の黄表紙(今でいうところの雑誌)では、毛倡妓は色んな妖怪にモテモテの妖怪というお約束になっていた。
確かに色々なところが隠れていて、逆に物凄く気になってしまう。
モテル女の秘訣は「隠す」ことにあるのではないだろうか。
――ところで、昨今人気の映画「リング」の貞子も、こんな感じである。貞子もコレをモデルにしているのかも知れない。