序――片耳豚(かたきらうわ)
片耳豚(かたきらうわ)
鹿児島県は奄美大島から、沖縄県にかけて、妖怪の中では珍しい「ブタ」の妖怪が集中して伝わっている。
というのも、ブタが主として飼われるようになったのは近年の事で、妖怪が跋扈する時代はブタよりもイノシシの方がメジャーだった。
しかしそれに反して早い時代からブタを食用として飼い、崇めていたのがまさに沖縄や鹿児島などだった。
(因みに全国的に豚肉が食べられるようになるのは明治時代以降から。僕も知らなかったけれどほんとに近年だった)
さて。
この片耳豚は、字の通り片耳しかないブタの姿で、しきりに人の股の下をくぐろうとするらしい。
もしそれを許してしまうと、魂を抜かれたり、性器を損傷したりするのだという。性器を失うよりは魂を抜かれたい。
この手のブタ野郎妖怪は、単純に股をくぐろうとされたら両足をぐっと閉じれば良い。
普通の豚との見分け方は、耳が両方あるかどうかと、光に当たった際に影が出来るかどうか。
片耳豚なら影ができないらしい。
夜はどうすんだよ!