妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

みんなの同意で妖怪クネユスリ(くねゆすり)

クネユスリ

 
クネユスリは秋田県に伝わる生け垣をゆっさゆさと揺する、無害な妖怪である。
くね、とは方言で、生け垣のこと。
関係性は判らないのだが、妖怪小豆とぎ(小豆洗いのような妖怪)と一緒にいるとも伝わる。
 
僕の手元にある、水木先生の『日本妖怪大全』のクネユスリの項には、
――不思議な感じのする(そういう印象を持ちやすい)生け垣そのものが、妖怪のような感じがするので、みんなの同意を得て「妖怪」となったものだろう。
 
のような事が書かれている。
妖怪は誰にでも生み出せるとはいえ、それが真に語り継がれる「妖怪」となる為にはこうした「みんなの同意」は不可欠であり、逆に言えばみんなの同意さえ得られれば妖怪は簡単に産まれる。
「そうそう、あるある!」
という感覚が妖怪誕生の源になっているのだ。
 
――さてクネユスリ。
生け垣を思い浮かべて不気味な感覚を想起できる方はそういう妖怪が語り継がれていることに何ら疑問を感じないだろう。ただ、生け垣すらピンとこない方にはちょっと思い浮かべにくいかも知れない。
 
とにかく分厚くて向こう側の見えないような生け垣というのは不気味で、中に何か住んでいたり潜んでいたりしてもおかしくないような感じがする。

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ちょっと↑の生け垣は大げさでダイダラボッチでも入ってそうだが、とにかく夜なんかは生け垣のそばを歩くのもイヤな程不気味だったりするのである。

で、何か入っていそう――ではなく実際蛇だの猫だのが潜んでいることもあるわけで、ゆさゆさ揺れることは案外ある。風で揺れることだってもちろんある。

街灯もない昔の時代、深夜にいきなり生け垣が揺れたら、そりゃ妖怪だと思う者だっていただろう。

その際の音が小豆をとぐ音にも聞こえたから、小豆とぎと一緒にいる、なんて言われる事にもなったのかも知れない。

 

余談だが、僕が小さい頃、人んちの生け垣に体当たりして突破する「生け垣破り」が流行ったことがあった。(時効だと思うので書きます)

見た目はふわふわしてて簡単そうに見えるかもしれないが、やると血まみれになる。中は植物の枝やら蔓やらで茨の壁なのだ。

突破できそうに見える分、壁よりもタチが悪い。

手入れは大変かも知れないが、コンクリートの壁よりも生け垣の方がたぶんずっと防犯にも役立つと僕は思う。音もするしヒョイと登れる壁と違っててこずるし。

そして泥棒のお蔭でクネユスリの復活にも繋がると思うし……。