妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

納戸を脱出せよ 納戸婆(なんどばばあ)

納戸婆(なんどばばあ)


何故か僕は昔から反抗的な子供だった。
母ちゃんは僕が余りにも反抗した時、よく納戸に僕を閉じ込めた。
何度か書いているが(ダジャレじゃないです)僕の実家は神社だったので、納戸には天狗の面、ひょっとこの面、日本人形など、不気味な物で溢れていた。

僕は納戸監禁の刑に処される度に、泣き叫びながら戸を叩いた。
ーーそんな今はいい思い出になっている納戸監禁の刑だが、物心付き始めた僕は次第に怖がらなくなり、遂には納戸に付いていた窓から飛び降りて脱出した。
そしてそれが最後になった。

たまに、納戸の扉を静かに開けてくれる者がいた。婆ちゃんだ。
僕はとことんお婆ちゃんっ子だったから、何かあれば婆ちゃんに助けを求めていた。

妖怪に「納戸婆」というのがいる。
岡山では、戸をあけると奇声をあげて納戸婆が出てくるのだという。ほうきで叩くと、慌てて縁の下に逃げて行く。

確かに納戸に妖怪が出る、というのはあの雰囲気を考えれば納得できる。
ただ僕の中では、納戸に出るのは僕の優しい婆ちゃんと決まっている。
納戸婆には違いないし。
たまに帰省すると、婆ちゃんは納戸の奥深くから必ず何かを持って来て僕に渡してくれる。一体どこにしまってあったのかわからないが、食べ物だったり、服だったり。
「もう使わないもんだから、持ってってちょうだいよ」
「うおお婆ちゃんいつも悪いな! でもいらない」

婆ちゃんいつもありがとう。