妖怪「ちんちろり」と聞いたら……
ちんちろり
『岩邑怪談録』(いわくにかいだんろく)に記述のあるエピソードを元に、名前は水木しげる先生が付けた妖怪、ちんちろり。
『岩邑怪談録』によれば――
山口県岩国の加藤という男が、夜に峠道を歩いていると、ふいに目の前に小僧が現れた。
小僧は加藤を指差し、「加藤はちんちろり~」と言ってきた。
意味も解らないし不気味だったが、豪胆な性格で知られる加藤は臆することなく、「そういうお前こそちんちろり~」と言い返した。
馬鹿げてはいるが、このちんちろり合戦は延々と加藤が家に着くまで続いた。
やれやれ、と加藤が家の戸を閉めると、小僧は屋根の上に登り、「お前は本当に強い男だな」と褒めて消えていったのだという。
岩国では負けず嫌いがよく「お前のほうこそちんちろりー!」と強がって言ったらしいが、それはこの妖怪が元になっているそうだ。
意味は全くわからないが、確かに指を指されて「お前なんかちんちろり~」とか言われたら凄くムカツクと思う。
ただ、この逸話を見る限りでは悪いヤツな要素は全くない。が、もし加藤が言い返さずにいたらどうなるのか……キニナル。
尚、この妖怪は似てはいるが博打のチンチロリンとは全くの無関係である。