妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

肉吸い(にくすい)

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江戸伊勢屋治助『百鬼夜講化物語』より「肉吸」

 

その名の通り、人の肉を吸う妖怪である肉吸い。

山道を歩く人の前によく現れ、「暗いから灯りを貸してくれませんか」と言ってくるという。性質が悪いのは肉吸いは十代の美女に化けているということ。むしろ吸われたい、と願った多くの男性がきっと肉吸いの養分になったに違いない。

対処法は簡単で、手に持った灯りをそのまま武器にして打ちつければ逃げていくのだという。

しかし考えれば考える程、山道で心細くって、なんだか寂しい時に、十代の超絶美女が「灯りを貸して」なんて言って頼ってくれているのに灯りを打ちつけるなんてヒドイこと出来るわけがない。

少なくとも僕はできない。例えそれが「肉吸い」であると解っていたとしても。

 

肉吸いは、上で紹介した絵などでは屋内にいる男性に近付く女性として描かれている。美女に惚れ、骨抜きにされて心も奪われる――ということが転じて肉を吸う、という表現に変わったとも考えられる。

 

世の男性諸君、あなたは美女に化けた肉吸いに出会ったら、追い返すことができるだろうか? 

肉吸い、という妖怪の肉を吸うという技は、別に死ぬとは書いていない。もしかしたらそれは何か楽しいことなのかも知れない。

それを確かめるためにも、ぜひどなたか、肉吸いに「肉を吸われて」みて欲しい。