日本神話に登場する伝説の巨大魚「悪樓(あくる)」
『金毘羅参詣名所圖会』より「日本武尊悪魚を退治す」
悪樓は、現岡山県近海の穴海に棲んでいたとされる超巨大魚。
日本書紀においては、熊襲(くまそ)討伐の帰りに日本武尊(やまとたけるのみこと)を海で襲ったとされる。しかし↑の絵にもあるように、背中を刺されてやられちゃったようだ。
船を一飲みにするほどの大きさだったというので恐ろしいとは思うのだが、巨大魚妖怪は悪樓だけではない。
というか、神話に出てくるくせに他の妖怪と比べると意外としょぼいのである。
例えば『絵本百物語』に出てきた「赤ゑいの魚」なんかは人が島と間違えて上陸してしまうほど大きい。
また、図鑑なのに図が無いのだが、オキナという妖怪に至ってはさらにデカイ。海面近くを泳いだだけで島があるかのように見えるらしい。
創作したものだとするならば、もうオキナ辺りが限界だろうと思う。それ以上いってしまうともう「海そのものが魚だった」みたいな話になり、多分話の論点自体がどこか違うところへいってしまう気がする。
しかし、オキナの項でも書いたのだが、海は宇宙よりも解明されていないともいう。
とすれば、この悪樓のような魚がいない、と断言することは出来ないのである。
海こそロマン! これぞ怪異ならぬ海異!