醜女(しこめ)
土佐吉光『百鬼夜行絵巻』より
醜い女と書いてシコメと読ませるこの妖怪は、単に容姿が醜い女性を妖怪化したものではない。
様々な絵巻にもたびたび登場する醜女であるが、実は日本神話にもその名が出てくるほど、歴史は古い。
この妖怪図鑑内で紹介した八岐大蛇(やまたのおろち)の項にて、日本神話の一部を駆け足で紹介した。その中に、死んでしまったイザナミへの想いを捨てきれず、黄泉の国まで追いかけていくイザナギの事も書いたが、その黄泉の国からイザナギが逃げ出す際、執拗に追いかけて来た化け物がいて、それの名が「黄泉醜女(よもつしこめ)」であった。
故に醜女で辞書を引くと、みにくい女、とは別に、黄泉の国に住む鬼女、といった解説が加えられている場合もある。
ただ、その黄泉醜女と醜女をイコールと考えていいのかは解らないが、妖怪として描かれる上で日本神話上の黄泉の国の鬼女をヒントにしたのは間違いないのではないかと思う。
また、絵巻で描かれる醜女は、皆お歯黒を塗っている。
例えば最も重要とされる真珠庵所蔵の百鬼夜行絵巻でも――
お歯黒を塗る最中の醜女が描かれている。
勿論、黄泉醜女のような由来ではなく、容姿の醜い女性を風刺した意味もあるのだろうとは思う。いつの時代でも、人々はお互いの容姿に注意を払い、落胆したり、けなして喜んだりしていたのであろうことは容易に想像できる。
――で、気になったので醜い男、つまり醜男(しこお)も妖怪になってたりしないのだろうか? と思い調べてみたが、やっぱり残念な結果だった。
醜男(しこお)
・ぶさいくで容姿の悪い男。
はいそうですねすみません。