小町桜の精
『新形三十六怪撰』より「小町桜の精」
芳年は『新形三十六怪撰』で歌舞伎や演目のワンシーンを描いているものが多く、この小町桜の精もまた歌舞伎の演目である通称「関の扉」のから。
雪の中に佇む一本の小町桜――というのがなんとも美しいシチュエーションらしい。(歌舞伎では、はかなく消えゆくものとして雪と桜を対として扱うことが多いのだとか)
関の扉の物凄く大雑把なあらすじを言えば――
小町桜が愛してた男を殺した超悪いヤツに桜から小町桜の精が出てきて復讐する話
――である。たぶん。
芳年は色っぽい女性を描くのが上手いが、この小町桜の精も雪のように散る桜の花びらと小町桜の精のなんとも言えないポーズと表情が美しい。
話は逸れるが、この月岡芳年のお蔭で歌舞伎の演目だののあらすじを読む機会が増えた僕だが、なんというか、思った以上にしっかりと作りこまれた話で面白いのが多い。
勝手なイメージでイヨォォォォォ! ってやるだけなもんだと思ってたので、ちょっと反省。
未だに人気のあるモノだし、そりゃやっぱり面白いんだろう。
ところで今日はなんだか夏みたいだった。気のせいか。それとも樹の精か。
……強引にまとめようとすると大体後悔するんだよネ。