倩兮女(けらけらおんな)
『今昔百鬼拾遺』より「倩兮女」
楚の国宋玉が東隣に美女あり
墻にのぼりて宋玉をうかがふ
嫣然として一たび笑へば、陽城の人を惑せしとぞ
およそ美色の人情をとらかす事、古今にためし多し
けらけら女も朱唇をひるがへして多くの人をまどはせし淫婦の霊ならんか
倩兮女は、垣根越しにケラケラと笑う、不気味な大女の妖怪である。
石燕の解説文には
「楚の国宋玉が東隣に美女あり。墻にのぼりて宋玉をうかがふ。嫣然として一たび笑へば、陽城の人を惑せしとぞ。およそ美色の人情をとらかす事、古今にためし多し」
と書かれており、「けらけら女も朱唇をひるがへして多くの人をまどはせし淫婦の霊ならんか」つまり、倩兮女もそのような淫婦の霊ではないだろうか、と結んでいる。
楚の国の逸話から石燕は倩兮女を多情な女の霊と結び付けてしまったが、僕にはそうは思えない(石燕の創作ですよぉ、というマジな話は置いといて)。
何しろ実に愉快そうに笑っている。
物凄く勝手な個人的意見だが、僕はこの倩兮女の絵が凄く好きで、この妖怪図鑑のヘッダー画像にも大々的に使っている(PC表示で見てね♪)。
とにかく、楽しそうに笑っているのが好きなのだ。
そんな僕の大好きな倩兮女さんが! 淫婦なわけないでしょうが!
そんな噂信じない! 認めない! 例え神が許しても僕が許さない!!
君がッ! 泣くまで! 笑うのをやめないッ!
兎にも角にも――この倩兮女ぐらい愉快そうに毎日笑っていたいものである。
笑う門には福来る――というのは案外マジだと思っている。経験上。