長壁(おさかべ)
『今昔画図続百鬼』より「長壁」
長壁は古城にすむ妖怪なり
姫路におさかべ赤手拭とは童もよくしる所なり
長壁は、姫路城天守に隠れ住むと云われる妖怪で、長壁姫とも呼ばれる。
かつて長壁は、年に一度だけ姫路城城主と面会し、その年の吉凶を占う易者のようなこともしていたらしい。
なぜ長壁が天守に隠れ住むようになったのかは謎だが、どうやら極端な人間嫌いであったようだ。
因みに、姫路には長壁神社というものがあり、そもそも長壁は神様であり妖怪ではなかった。それが江戸で様々な飾りを付けられて妖怪、それもなかなか人気の妖怪に変えられてしまったようだ。
また、正体が狐であるとも言われるが、これは長壁の着ている十二単が九尾の狐で有名な「玉藻前」と重なることから、これもまたイメージで後付けされたものだと思われる。
いかに長壁が有名妖怪であったかは、石燕の解説文にも「姫路におさかべ赤手拭とは童もよくしる所なり。」と書いてあることからも解る。
やっぱり今日で有名になっている妖怪というのは、江戸時代の、江戸の人々のせい(おかげ?)と言っても過言ではないところがある。
エドウィン!